2024年11月30日( 土 )

加熱する米中貿易戦争:日本の生き残り戦略はどこに?(後編)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2019年4月26日付の記事を紹介する。

 2018年11月に3度目の来日を果たしたアメリカのペンス副大統領も、トランプ大統領の意向を代弁していた。「インド太平洋戦略」で安倍首相と意気投合を演出したペンス副大統領であるが、中国の進める「一帯一路」計画の向こうを張って、アメリカ主導のアジア太平洋地域向けの700億ドル(約8兆円)のインフラ整備基金の創設を事前のすり合わせをしないまま、突然提案したのである。しかも、新たな基金の原資はすべて日本に負担させようという魂胆だ。

 その論理は明快であった。曰く「アメリカは日本を外からの脅威から守っているのだから、アメリカから防衛装備品を購入し、中国と対抗する途上国援助の基金をアメリカに提供するのは当然」という発想だ。ペンス副大統領は「日本からの資金提供に感謝する」と明言しているが、安倍首相はその点に関しては国民への詳しい説明を行おうとしていない。これでは、余りにも「トランプ・ファースト」ではないか。

 何しろ、アメリカ側は「アメリカのいう通りにしなければ、日本からの自動車や部品に25%の関税を上乗せするぞ」と恫喝。とても最大の同盟国に対する物言いとは思えない。経済と安全保障をリンクさせるアメリカの手法は、どこまで通用するのだろうか。トランプ大統領は決まり文句のように「アメリカ経済は順調だ。株式市場も活況を呈しており、雇用も拡大中だ。誰のお陰だ?」と自信満々の様子だ。

 しかし、アメリカの現状は一皮むけば厳しい限りである。例えば、2018年10月、政府機関の横断的調査作業チームが報告書をまとめ、アメリカと中国の製造業とサプライチェーンの実力を比較したのだが、軍事力の基盤を形成する産業分野でアメリカは中国にかつてないほど依存していることが明らかにされた。

 衝撃的といえる内容であり、アメリカの軍需産業が直面する300を超える弱点が列挙されている。その中でも特筆すべきものは3点に集約できる。これらの弱点を克服するのは容易ではないが、不可能ではないはず。しかも、日本が協力できる分野でもある。以下、そのアメリカの弱点を紹介してみたい。

 第一が、アメリカの製造拠点が海外にアウトソーシングされたために、ボーイングやレイシオンなど主要軍需産業がいずれも部品の安定供給に弱点を抱えていること。2000年以降、この傾向は悪化の一途をたどっており、アメリカ国内の製造基盤は70%以上も減少。集積回路に至っては90%がアジアで製造されており、その内半分以上が中国製である。アメリカ国内の製造メーカーはほぼ壊滅状態だ。その裏には中国企業によるアメリカ企業の買収攻勢があった。ハイテク関連企業の買収に中国はこの10年だけで400億ドルを投入してきた。

※続きは4月26日のメルマガ版「加熱する米中貿易戦争:日本の生き残り戦略はどこに?(後編)」で。


著者:浜田和幸
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