2024年11月30日( 土 )

日本経済におけるバブル崩壊の原因と2020年の近未来展望(前編)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2019年5月10日付の記事を紹介する。

 日本は5月1日、新たな時代「令和」に突入した。10連休を満喫した方々も多かったようだが、日本経済の水面下では大きな地殻変動が起こりつつある。浮かれていては「バブル崩壊」の二の舞を演じることになりかねない。最大の課題は人口減少だ。人口動態ほど確実な未来予測のデータはない。現在の出生率が続けば、今世紀末には地球上から日本人は1人もいなくなる。これは国家消滅を意味する一大事に他ならない。しかし、多くの日本人は「根拠なき楽観論」にいまだに酔いしれているようだ。

 思い起こせば、昭和20年に敗戦を迎えた日本は戦後、世界を震撼とさせるような驚異的な経済復興を成し遂げた。昭和25年(1950年)に始まった朝鮮戦争による特需という追い風もあったが、たゆまぬ創意工夫と国民上げての刻苦勉励の成果である。繊維製品から自動車、家電製品やITに到るまで、日本製品は「メイド・イン・ジャパン」のブランド力を背景に世界市場を席巻した。

 その結果、昭和後半の1980年代に至っては、アメリカ、ヨーロッパ、そして、なかんずくアジア太平洋地域における政治、経済指導者たちがこぞって礼賛したように、日本発の新たな資本主義の成功モデルを打ち立てることに成功したのである。

 日本企業や日本社会の成功と安定と秘訣は何なのか。多くのアメリカのメディアが日本の歴史的発展の過程や絆を大切にする「終身雇用」「年功序列」「家族主義」を高く評価した。いずれにせよ、アメリカはじめ世界の経営者たちが注目し、称賛したのは、日本人が打ち出した、従来の欧米型の資本主義に代わる、新たな「人間的な資本主義」という姿勢や価値観であった。

 その流れの中で、大都市における人口密集がもたらす問題や、経営者と労働者との家族的な一体経営ゆえにもたらされる自由度の制限、さらには成長を最優先した結果、日本各地で発生した公害問題といった課題に対しても、「日本なら必ず解決策をもたらすに違いない」と、世界から熱い眼差しが寄せられたものである。

 しかしながら、「平成」時代の幕開けと共に打ち出された総量規制の影響もあり、不動産市場が崩壊してしまい、あっという間に総崩れという憂き目をみることになった。まさにバブルがはじけた瞬間である。その後、「失われた20年」と揶揄されたように、日本は不況とデフレの波に飲み込まれ、経済的活力を喪失することになる。

 バブルが崩壊し、冷戦構造も終焉を迎えた。人口の高齢化が進み、地域社会が次々と限界集落化し、社会の活力が失われ始めたのもこの時期である。様々な国際的な競争の現場で日本では「ガラパゴス化」と呼ばれる現象が見られるようにもなった。かつてもてはやされた国際社会で主導的な役割を果たす日本、あるいは「日本円が国際通貨として世界の金融市場をリードしていく」という大胆な発想もあっけなくしぼんでしまった。

※続きは5月10日のメルマガ版「日本経済におけるバブル崩壊の原因と2020年の近未来展望(前編)」で。


著者:浜田和幸
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