日本経済におけるバブル崩壊の原因と2020年の近未来展望(後編)
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2019年5月17日付の記事を紹介する。
安倍首相がいくら「日本経済は順調に推移し、雇用も安定している」と述べても、実態は深刻である。財政赤字はGDP比200%超となり、国家破たんといっても過言ではない。日銀の発行する10年物国債は金利がマイナス0.135%というわけで、買い手がつかない有様だ。そのせいか、このところの日本人資産家の間での売れ筋は金庫という喜劇的結末となっている。海外ファンドによる優良企業への買収攻勢も加熱する一途である。
日本の国際競争力の低下も著しい。IMD(国際経営開発研究所)の「国際競争力ランキング」によれば、日本は1989年から1992年まで世界1位だった。しかし、2015年の時点で、日本は27位となり、今や30位に及ばない。同様に、日本のビジネス環境も後退しており、世界銀行による「ビジネス環境ランキング」2016年版では、日本は34位にまで後退。
安倍政権は日本再興戦略を通じて「2020年までに先進国3位以内にカムバックする」を目標に掲げるが、「絵に描いたモチ」に終わりそうだ。
日本の近未来を考えた場合、経済を左右する人口動態の問題も深刻である。20歳から34歳までの男性を対象に、年収別に配偶者のいる比率を見ると、年収と配偶者の有無の間に歴然とした相関関係があることが分かる。年収が600万円以上の男性の場合には78.9%が配偶者を持っている。一方、250万から299万円の年収の場合には、配偶者のいる割合は42.3%、ましてや200万円以下の年収の場合には、20代においては10%前後、30代においても30%足らずである。
しかも、男性の就労形態別に配偶者の有無を調べて見ると、更に愕然とさせられる。正社員の場合には、59.6%が配偶者を持っていいるが、非正規社員の場合には30%である。しかも、非正規のうち、「周辺フリーター」と呼ばれる、年間就業日数が99日以下、または週の労働時間が21時間以下の場合には、20代で数%、30代でも16.8%しか配偶者がいない。
現在、日本では、就業者の40%が非正規雇用である。こうした現状から判断すれば、今後も日本社会では、結婚はもちろん、出産による新たな家族の誕生は極めて限られた数字で推移するであろうことは想像に難くない。先進国では、子供の数が急激に増えることがないのは、共通した現象のようだ。
しかし、日本の場合は、他の国々と比べ、子供を産まない女性の比率が極端に高いという点で、突出している。日本では、女性4人に1人は生涯子供を産まない。「草食系男子」に問題があることは否めないが、結婚願望の対極ともいえる「結婚回避願望」が日本人女性の間で広がりつつあるのは、世界でも稀な現象だといえよう。
※続きは5月17日のメルマガ版「日本経済におけるバブル崩壊の原因と2020年の近未来展望(後編)」で。
著者:浜田和幸
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