米禁輸制裁でファーウェイは絶体絶命のピンチ(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
アンドロイドOSが使えなくなる懸念から、日本のNTTドコモ、au、ソフトバンクなども、ファーウェイの最新機種の販売停止などを発表した。
Googleだけならファーウェイは打つ手がないわけではないが、半導体設計で世界シェア9割を占めている英国会社であるArmも、ファーウェイとの取引中止を発表した。Armとの取引中止は、ファーウェイにとっては致命的である。Armは半導体を製造はしていないが、他社がまねできない低消費電力の半導体の設計技術をもっていて、そのライセンスを供給する会社である。とくに、スマートフォンの心臓部にあたるCPUであるアプリケーションプロセッサー(AP)は、ほとんどArm社の設計図がベースになっており、アップル、サムスン、クアルコムなど、一様にこれがベースになっている。
問題はArmと取引が中止されると、ファーウェイはオープンソースであるアンドロイドのプラットフォーム(AOSP)さえ使えなくなることだ。Googleのアンドロイドが使えなくなっても、AOSPという代案があるが、Armと取引が中止されると、ファーウェイは打つ手がなくなる。すなわち、Arm社の設計技術がないと、スマートフォンビジネスが成り立たなくなるのだ。ファーウェイが奇跡的に半導体の開発に成功したとしても、OSなども全部ゼロから開発しないといけなくなるので、実現の可能性は、それほど高くないだろう。
このような状況下で、市場調査会社のストラテジーアナリティクス(SA)は米国の現在のような制裁が続くと、今年のスマホの販売台数は当初の予想2億4,110個より1億台減少した1億5,600台になると予測した。来年はもっと減少し、販売台数は1億1,960台に落ちることも予測した。
それでは、なぜこのようなことが発生しているのか。米国政府によるファーウェイへの狙い打ちは、米中貿易戦争の延長線上にある。14億人という人口から発生される膨大なデータを5Gでつないだり、人工知能で分析したりすると、米国は中国に産業の主導権を奪われる恐れがある。また、そのような情報が中国政府の手中に入ると、安全保障上の大きな脅威になると米国政府は考えている。
中国政府は世界秩序を守らず、産業スパイやハッキングで技術を盗み、知的財産権を無視し、政府の補助金で安い製品を生産し、低価格攻勢を繰り広げていることが問題だと米政府は認識していた。そのなかでも、ファーウェイが標的にされた大きな理由は、5G時代には伝送スピードも現在より20倍も速くなるし、1km内で100万個の機器がつながるほど、今よりもっと多くの機器がつながる時代になるので、データが流出した場合、被害はもっと大きくなるし、ファーウェイをこの辺で押さえつけることが大事だと判断しているようだ。米国の制裁にファーウェイが耐えられるかどうか、市場では注目が集まっている。
(了)
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