2024年12月22日( 日 )

北九州市にIR推進協議会が発足 「オール北九州」態勢を組めるかが誘致実現への第一歩(前)

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内藤則雄・北九州市IR推進協議会事務局長

 今年5月、約20の経済団体などからなる北九州市IR推進協議会(会長=堺俊治・(一社)北九州中小企業経営者協会会長)が発足した。IR認定は国内3カ所が上限。2021年ごろに候補地が認定される。IR誘致をめぐっては、東京都や横浜市、大阪市などで動きがある。九州では、長崎県(佐世保市)がすでに名乗りを上げている。IR(カジノ)は、高い経済効果が見込まれる一方、治安の悪化が懸念されるなど、賛否の分かれる難しいプロジェクトだ。なぜ今、北九州市にIRなのか。北九州市IR推進協議会の内藤則雄事務局長に話を聞いた。

「IRまちづくり」で市全体を活性化したい

 ――なぜ北九州市でIR誘致を?

 内藤 私が所属している北九州中小企業経営者協会(以下、中経協)では、「人づくり、場づくりを通じて経済の発展に尽くす」ことを目的にしています。北九州市は現在、人口が95万人を割り、超高齢化地域になっています。北九州市には大企業が立地しているのに、若者が流出しています。北九州市の魅力について、今一度考えなければならないときがきています。IR誘致は、そういったところからスタートしたんです。

 IRとは、高級ホテルやショッピングモール、スタジアム、エンターテインメント施設、大型MICEなどの施設で構成されています。海外・国内の観光客を対象にした1つの「まち」なんです。結論からいえば、IRを形成することによって、「IRまちづくり」を実現し、市全体を活性化するというのが、我々のゴールなんです。

 我々がIR誘致活動を始めたきっかけは、笹川財団の笹川能孝さんと北九州市の井上秀作市議が懇意だったことです。笹川さんは、「地方創生型のIRをつくりたい」というマインドをお持ちの方です。地方創生型のIRとは、大型IRではなく、既存の施設などを活用して、ヨーロッパ型のIRを地方で展開するというものです。笹川さんは、「北九州市には、地方創生型IRを展開できるポテンシャルがある」というお話をされました。今から1年ほど前のことです。

 約20の地元経済団体を中心にIR推進協議会を設立

 ――当初は中経協として活動していたのですか?

 内藤 そうです。我々は中経協のメンバー100名ほどを集めて、笹川さんを招いたIRに関する説明会を行いました。笹川さんからは、コンパクトなIRであれば、600億円ほどでできるというお話がありましたが、ただ、地域でお金を出し合うには、リスクがありました。当初は中経協でも賛否が分かれました。どうしようかと考えているところへ、IR誘致の噂を聞きつけた世界のIR事業者4社ほどから、中経協にアプローチがきたんです。IR事業者は「IRが実現するなら、ハード整備に必要なお金は全部我々が出す」と言ってきたんです。「地元の人々にはIRのテナントなどについて協力してほしい」と。この申し出は、我々にとって、非常にありがたいものでした。

 ――IR推進協議会のメンバーは?

 内藤 約20の経済団体のメンバーが中心になって、IR推進協議会が設立されました。協議会の会長は中経協の堺俊治会長に就任していただきました。顧問として、地元国会議員、北九州市議の方々に加わっていただく予定で、北九州商工会議所にも参加を要請しています。加盟団体はどんどん増えてきています。IR誘致に賛同する企業数は、数千社に上る見込みです。100社、200社単位の集まりを別途組織し、いろいろな活動を展開しています。我々は横浜市や大阪市などと比べて、大きく出遅れたタイミングでIR誘致しようとしているので、とにかくスピード感をもって進める必要があります。

(つづく)
【大石 恭正】

(後)

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