コード決済におけるクレジットカード不正対策ガイドラインを策定(前)
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(一社)キャッシュレス推進協議会
新しいサービスには、往々にして即座に新たな悪用方法が生まれる。スマホを利用したキャッシュバックキャンペーンなどでQRコード決済(以下コード決済)が話題となった2018年末には、同サービスでの流出クレジットカード情報の不正利用がすぐその後追いで報じられ、キャッシュレス社会推進の腰折りを危惧させた。業界団体がガイドラインを策定した狙いはどこにあったのか。
コード決済で新たな不正が生まれた
政府は、消費増税や東京オリンピックなどさまざまな要因を挙げ、「キャッシュレス化」を推進しており、2019年はキャッシュレス元年ともいわれている。キャッシュレスとはその名の通り現金不要の決済のこと。その範囲には既存のクレジットカードやデビットカード、すでに普及が進んでいるSuicaやnanacoなどの電子マネーも含まれる。
そのなかでもキャッシュレスの代表格といえばコード決済。18年後半から急激な普及を見せている。起爆剤は12月4日から開始したPayPayの「100億円あげちゃうキャンペーン」。日本中をお祭り騒ぎに掻き立てた結果、予定より大幅に早く10日間で幕を下ろした。
幕引き直前の12月11日には、早くもネット上やメディアでPayPayを利用した新たな不正が話題となり始めた。流出カード不正利用である。
PayPayでクレジットカードが不正に利用されているというもので、概要はすでに流出していたクレジットカード情報をPayPayアプリに登録し、不正に利用したというもの。
PayPayアプリからの情報流出ではなかったが、カード登録の際にセキュリティコード入力の回数制限がなかったため、「カード番号」と「期限」の情報だけ入手すれば、登録成功するまで何回でも試すことができた。PayPayアプリのシステム設計が不正利用を招いたとされた。
コード決済を使うとカード情報が流出するという誤ったイメージも一部でついたが、すでに流出していた情報をコード決済で使用したというのが真相で、カード名義人がコード決済アプリを使用することは、この不正利用には関係がなかった。
キャッシュレスを望まない国民
「いつもニコニコ現金払い」などという言葉に代表されるように、日本人はキャッシュレスにアレルギーが強いといわれる。その場で現金払いしないことに不安や不信感をもつ。その結果、諸外国と比較してキャッシュレス化が遅れたまま改善が進んでいない。
政府は16年に20%であったキャッシュレス比率を、27年までに2倍の40%を目指す方針としている。ペイ各社がキャンペーン合戦を繰り広げる浮揚感のなか、なし崩しにキャッシュレス化推進するのを望んでいたはずが、出端をくじかれた。
PayPay側は入力回数の制限や利用金額制限などいくつかのセキュリティ対策を施した。改善により不正使用そのものは収まったようだが、キャッシュレスに対する不信感を日本人に蘇らせてしまった。
4月16日、これを含め流出カードの不正利用に関して(一社)キャッシュレス推進協議会が「コード決済における不正流出したクレジットカード番号などの不正利用防止対策に関するガイドライン」を発表した。
コード決済事業者やクレジットカード事業者などが一体となって対策が必要であり、コード決済の利便性を不当に阻害しない対策を進めたいというものだ。
ガイドラインであるので、具体的な方策ではなく、各社で対策を進めるうえでの留意点や方向性を示すものとなっている。
(つづく)
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