大阪G20サミットを前に加熱する米中貿易戦争:日本は仲介役を果たせるのか(前編)
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2019年6月14日付の記事を紹介する。
来たる6月28日と29日、大阪ではG20サミットが開催される。戦後の日本外交にとっては最も大きなイベントといっても過言ではない。アメリカや中国、ロシアの最高指導者に加えて、主要国の元首が勢ぞろいする。加えて、国連や世界銀行、国際通貨基金など国際機関のトップも集う。計37の国と国際機関の首脳が一堂に会する場であり、13回を迎えるG20で初めて日本が議長国を務める意味は大きい。
当然のことながら、安倍首相をはじめ、日本政府は今回の歴史的イベントを成功させるため、万全の体制で準備を重ねている。安倍首相曰く、「3つの目標を達成すべく、万全の準備を整えている」。
その3つとは何か。第1は「最も重要な課題であるが、世界貿易の自由で公正な秩序を守り、一層強化すること。RCEP(東アジア地域包括的経済連携)に向け、これまで話し合いを重ねてきたが、これから一気呵成にゴールを駆け抜けよう」というのが安倍首相である。
第2は「デジタル経済への移行」である。具体的には、「経済のデジタル化が進む中、これまでにない創造的なビジネスモデルが生まれてきた。しかし、多国籍企業による二重課税など、新たな課題が生まれており、その解決には国際的な協調が欠かせない」。この点も安倍首相は繰り返し訴えている。
そして第3は「地球環境問題に対するイノベーションの創出」である。地球温暖化の問題は当然としても、近年深刻化しつつある「海洋プラスチック問題」に対しても先進国だけではなく、途上国を含む国際社会の取り組みが欠かせない。そのため、日本は東アジアASEAN経済研究センターに「海洋プラスチックごみナレッジセンター」を創設することを決めた。
要は、日本政府とすれば、「自由貿易の推進やイノベーションを通じて世界経済の成長をけん引し、経済成長を目指すと同時に、格差の解消に向けての取り組みを加速する」というわけだ。その意味では、G20の場を活かして、国連が提唱するSDGs(あらゆる人々が活躍できる、自由で開かれた、包摂的かつ持続可能な社会を実現する)という目標を達成する道筋をつけようという考えである。
とはいえ、こうした理想論には「総論賛成、各論反対」がつきものである。特に、地球温暖化は「フェイクニュースだ」と切り捨てるトランプ大統領の対応は予断を許さない。更には、このところ加熱する一方の米中貿易戦争がどのような展開を見せるものか。政府間の交渉ではラチがあかず、「首脳同士の話し合いで決着をつけるしかない」と言われている。
そのため、大阪でトランプ大統領と習近平国家主席が直接会談するのかどうか、世界が注目している。当然、そうした米中対立の緩和と解消に日本がどれだけ貢献できるかも、今後の日本外交にとっては大きな試金石になるだろう。いずれにせよ、翌7月に参議院選挙を控える安倍首相にとっては、失敗するわけにはいかない「晴れの舞台」だ。
※続きは6月14日のメルマガ版「大阪G20サミットを前に加熱する米中貿易戦争:日本は仲介役を果たせるのか(前編)」で。
著者:浜田和幸
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