2024年11月23日( 土 )

「消費税廃止しても物価上昇率は1.67%まで」、山本太郎氏がインフレ懸念を払拭~浜松

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緊縮財政と消費税がなければ最低賃金は1,500円を超えていたと説明する山本氏(2019.6.15筆者撮影)

 新党「れいわ新選組」の山本太郎参院議員は15日、静岡県浜松市内での市民との対話集会で、デフレから脱却して国民所得を増やすには消費税廃止と最低賃金1,500円への引き上げが不可欠と唱えるとともに、消費税を廃止しても物価上昇率は最大1.67%にとどまるとの試算を提示してインフレ懸念を払拭した。

 集会は「山本太郎とおしゃべり会」と銘打ち、TKPアクトタワーカンファレンスセンターで開かれ、山本氏が市民約60人と質問形式で対話した。話題は軍事・防衛問題や児童相談所による児童略奪、ロスジェネ世代救済策などにおよんだ。

 そのなかで、「障がい者や母子家庭などへの救済制度とは別に、貧困が一般化していると感じる。救済策は」との質問があった。これに対し、山本氏は消費税廃止と最低賃金全国一律1,500円の実現を主張した。

消費税廃止による1人あたり賃金の変化(同党政策チラシより)
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 消費税については、5%に下げた場合と全廃した場合の1人あたり賃金上昇率のグラフを提示。「消費税を3%上げたとき、8兆円も個人消費が落ち込んだ。8%を0%にすると物価は5%下がり、消費が活発になる」と述べ、6年後に1人あたり賃金が44万円増えると説明。

 「食べ物や飲み物といった、生きようとするたびにかかる罰金をやめよう」と訴えた。

 最低賃金1,500円については「賃金が上がっていくことが重要」と推すと同時に、教育・保育や医療、介護、住居など、生活の基礎となる分野で本人負担が減る施策を導入する必要性も説いた。

 一方で、山本氏は「本来、日本経済が成長していれば、最低賃金は1,500円を超えていた」と、全国平均の最低賃金の推移のグラフを示した。最低賃金は1994年まで年率4%上昇していて、そのままなら2018年には1,554円になっている計算だ。

 「経済成長できないのはデフレでお金が回らなくなったから。誰かの消費は誰かの所得。消費が増えなければ所得も増えていかない。消費が弱ったのは国が投資をコンスタントに続けられなかったから」と述べ、政府の緊縮財政を暗に批判した。

 インフレになるのではとの懸念に対し、山本氏は消費者物価指数上昇率の試算を掲げた。参議院調査情報担当室の試算でも、ピークの3年目で1.67%の上昇にとどまる。あとは緩やかに下がっていく。安倍内閣の目標、2%に到底およばない。「全然、楽勝」。

消費税廃止にともなう悪性インフレを否定(2019.6.15筆者撮影)
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 消費税廃止による税収減20〜25兆円は大企業への租税特別措置の廃止や法人税への累進課税制導入、所得税の累進課税強化で賄うが、「国債発行というかたちで補填(ほてん)してもいい」とも主張する。ただし、「いつまでも発行できるわけでなく、リミットがある。インフレ率が2%になったら金融を引き締め、お金を吸収していく」と、財務省の悪宣伝を退ける。

 「国債発行という財源で、今足りない所にお金を出していくことが日本経済には必要。生活が困窮されている方々に対して何ができるか、すぐに考えないと。収入の少ない人ほど、お金が入ったらすぐに使うから、経済活動に寄与する」と強調した。

 山本氏は新宿で街頭演説した際、「YouTubeと同じ話じゃないか」と落胆されたことを告白。「それでいいんです。ぜひ、この話を横に広げて、知っている人の数を増やさなければ。皆さま、そらでいえるようになって、近くの人にスピーカーになってください」と促した。

 最後に、同党への寄付が1億9,000万円を突破し、立候補応募者も150人程度に増えたことを報告。「参院選に10人立てられる3億円がみえてきた。近々、もう1人立候補予定者を発表する」と補足した。

<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)  

 1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。ブログ『高橋清隆の文書館』。

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