2024年11月30日( 土 )

中国経済新聞に学ぶ~中国対米貿易黒字額はさらに拡大(後)

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なぜ対米貿易黒字が減少せず増加したのか?

 中国商務部国際貿易経済協力研究院対外貿易研究所の梁明所長は、「中国が米国へ輸出する2千億ドル相当の商品のうち、その対米輸出額が当該商品の輸出額全体に占める割合が50%を超えるものは124品目にとどまる。これはつまり中国の輸出商品の大半は米国市場への依存度がそれほど高くなく、他の市場への切り替えが可能だということだ。その一方で、米国の中国からの輸入商品への依存度は相対的に高い」と述べた。

 中国社会科学院世界経済・政治研究所の高凌雲研究員は、「多くの米国メーカーは中国産の原料や中間製品への依存度が高く、米国国民もコストパフォーマンスの高い中国産消費財への依存度が高い。よって中国からの輸入商品に対する米国のニーズは、追加関税があっても目に見えて減少することはない。追加関税によって増大した負担は、米国の企業と消費者が引き受けるしかない」と述べた。

 現在、欧州連合(EU)は中国最大の貿易相手になっている。中国とEUとの貿易額は1兆9千億元で同11・7%増加した。このうち中国からEUへの輸出は1兆1,300億元で同14.2%増加し、中国のEUからの輸入は7,649億元で同8.3%増加した、貿易収支は3,695億1千万元の黒字で、黒字額は28.7%拡大した。

 データをみると、中国の対EU輸出は2けたの増加となり、輸入の伸び率も低くはなかった。中国EU貿易額の伸び率は11・7%で、中国の物品貿易全体の伸び率を大幅に上回る。ここから、双方の貿易が双方向で、市場が相当活発であることがうかがえる。

 中日貿易額は8,469億元で同0.9増加した。このうち日本への輸出は3,893億4千万元で同3・8%増加し、日本からの輸入は4,575億6千万元で同1・4%減少した。貿易収支は682億2千万元の赤字で、赤字額は23・3%縮小した。

 1~5月には中国とEU、ASEAN、日本などの主要貿易パートナーとの輸出が軒並み緩やかに増加し、中でも対EU、対ASEANは伸び率が10%を超えた。「一帯一路」沿線国との貿易額も増加し、対米輸出減少の影響を軽減するうえでプラスになった。

 こうしてみると、米国が貿易摩擦をエスカレートさせなければ、中米貿易も確実にパイをより大きくして、プラス成長を実現できたことがわかる。しかし貿易摩擦によるマイナス影響のため、中米貿易額は減少し、規模も縮小し、ここから貿易戦争にはまったく勝者がいないことがわかる。

 今月28日から開催の大阪G20サミットに、中国国家主席習近平と米国大統領トランプの首脳会談は、貿易戦を止めることができるのか?世界の注目を集めることは間違いない。

(了)


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