2024年12月27日( 金 )

華南経済圏視察を振り返って~トランプ大統領の恫喝に屈せず(1)

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 6月23日(日)から26日(水)まで、華南経済圏視察団を組織して14名で香港―マカオ―深圳―香港を廻った。香港に着くとあまりの蒸し暑さに驚いた。マカオも同様である。福岡が毎年のように暑ければ、すぐに順応できるのだが、今年は異常に涼しいので慣れるのに一苦労した。

 今回の経済視察団を組織した目的は(1)華南経済圏の潜在能力を知るため、(2)ファーウェイ(華為技術)の本社を見て、同社がアメリカのトランプ大統領の恫喝に屈するのかどうか、(3)香港・マカオにある大きな橋(港珠澳大橋)を渡るため、(4)マカオでカジノを体験して同地の将来を読み解くため、(5)香港の若者たちによる中国政府への抗議の流れを見極めるためである。


福岡定住の魅力

 1回目は港珠澳大橋からレポートしよう。23日の集合時間である午後1時10分までに14名全員が遅れずに集合した。空港には海外への往来で飛行機を利用する人たちが数多くいた。

 もともと香港~福岡間は1日3便運航していたが、キャセイパシフィック空港の子会社(キャセイドラゴン)も運行するようになり、現在は1日5便運航している。

 筆者が利用したK343便には200人ほどの乗客がおり、アシスタントスタッフのなかに日本人が3名いた。

 午後3時10分発、現地時間5時10分に到着した。以前は台北経由が大半だったので、4時間半かかっていたが、ずいぶん早く着くようになったものである。

 今回は福岡-香港-マカオ-深圳・中国-香港-福岡と4カ国・出入国できるので、パスポートにスタンプがたくさん押されると期待していたのだが、残念。スタンプはなくなった。自慢できない。

 同行者の横に40代前半の香港の婦人が同席していたらしい。聞くところによると博多区に2つのマンションを所有しているとか。現在は香港でビジネスをして稼いでいる。「退職したら福岡で生活したい」と本音を漏らしていたらしい。完全に中国復帰になった際には香港に見切りをつけようという計画をもっているのであろうか。香港人の心境は非常に複雑である。

中国の橋づくりの見本、港珠澳大橋

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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 香港空港に到着したのは夕方である。空港を出て乗合バスでマカオへの出国ステーションへと向かうと、大陸からのお客さんで混雑していた。とくに中高年女性の団体客が多かった。出国ゲートを抜けてバスに乗る。昨年10月に開通した橋の距離は50km弱(橋の長さは一覧を参照してもらいたい)。09年12月に工事が開始され、18年10月に完工した。マカオへフェリーを使って移動していたころの所要時間は70分、橋を利用すれば40分である。ただ、時間の圧縮よりも自動車=バスによる運送量の大幅拡大のほうがメリットは大きいといえる。

 筆者は中国で話題となる橋には意識的にツアーを組んできた。世界の橋の長さランキング11位の東海大橋は東シナ海に浮かぶ洋山島に架けられた橋だ。この洋山島に世界最大級の洋山深水港が建設されたので、その港を視察するために渡ったのである。

 10位にランクインしている杭州湾海上大橋をバスで渡ったのが2009年のことであった。揚子江の河口にある橋も通過したことがある。橋の長さランキングを見ると一目瞭然だが、中国の橋が大半を占めている。実績からみても中国はいまや世界一の橋づくりの技術力を有していると評価できる。その最高峰の作品が港珠澳大橋といえるだろう。これだけの長橋を建設してきた中国の実績には、到底どの国の技術力もおよばないだろう。

 港珠澳大橋は片道3車線になっている。現在はまだ一般車両の運送許可を与えていない。バスだけの往復運航だけが許可されており、バスだけでもひっきり無しに走っている。それだけ利用する観光客が多いということである。そこで意外な事実に気づいた。車が右側走行しているのである。マカオ・香港の車は左側走行なので、日本と同じはずだ。調べてみると中国政府がこの大橋の管理運営をしているのである。だから車が左側走行なのだ。そうこうするうちに40分でマカオ入国審査場に就いた。

(つづく)

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