2024年12月24日( 火 )

山本太郎氏が最賃全国最低の鹿児島で時給1,500円を叫ぶ

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選挙に行かない4割の覚醒と公明票の切り崩しを訴える山本氏(2019.7.9筆者撮影)

 「れいわ新選組」の山本太郎代表は9日、最低賃金が全国最下位の鹿児島県内で街頭演説し、最低賃金全国一律1,500円を政府が保証することを主張。この施策が地方を活性化し、東京一極集中を緩和すると説明した。

 JR鹿児島中央駅前の広場には、照りつける太陽の下、300人ほどの聴衆が集まった。山本氏は20年以上続くデフレの原因が消費税の導入・引き上げと政府の緊縮財政であることを指摘。やるべき経済政策として、消費税の廃止を訴えた。

 消費税廃止の財源として、税制の変更と国債の新規発行を提案。税制については、所得税の累進制を強化するとともに、法人税の80以上ある特別優遇措置の廃止と累進制導入を挙げた。

 続いて、鹿児島県の最低賃金に触れた。同県の最低賃金は2018年度の改正で、全国単独最下位の761円になった。山本氏は、「人間の尊厳を守る生活ぎりぎりじゃないか。足りなすぎる。最低賃金全国一律1,500円。これを政府が保証するのはどうか」と提案した。

 山本氏は自身の掲げる政策がセットになっているとして、税の滞納の6割を占める消費税を廃止したり、法人・所得両税の変更が、苦しむ経営者の負担を軽くすると指摘。「そうなれば、1,500円にできる中小零細企業も出てくるはず。それは無理だという所に対しては、国が補償というかたちで引き上げればいい」と説明した。

 そうした一連の施策が労働者の消費意欲と企業の投資意欲を喚起して景気の好循環を生むとしたうえで、「これで何が生まれるかというと、東京一極集中や三大都市に人が集中するということがどんどん薄れていくと思う。地方創生というなら、これくらい大胆なことをやらなければ」と声を張り上げた。

炎天下に足を止める市民(2019.7.9筆者撮影)

 山本氏は地方を回っても経済政策を客観的に語り、ご当地ネタを振りまくことはまずない。しかし、同地では演説の終盤、次のように補足した。

 「鹿児島にいるからいうんじゃない。小泉進次郎さんはそこのなまりをつかみとして使ったりするが、私はそうじゃない。実は、鹿児島好きなんです」と切り出し、俳優時代にロケで訪ねたほか、年に2、3回、個人的に種子島で波乗りを楽しんでいたことを明かした。

 「東京以外でどこに住むかと思ったとき、私のリストのなかに鹿児島が入っている。食べ物はおいしいし、人はいいし、温泉と波がある。最低賃金1,500円を政府が保証するかたちになったら、鹿児島県、人口が増えますよ。賃金が上がっていくことで、大都会に住む必要はないという状況ができてくる」

 そのうえで、山本氏は「この国を変えるのは無理だとあきらめたら終わり。私は楽観主義者ではない。でも、選挙という制度がある限り、私たちは変えることができる。みんながいかに横につながるかが、一番の基本」と述べ、運動の広がりを呼び掛けた。

<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)  

 1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。ブログ『高橋清隆の文書館』。

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