なぜグランドメゾンは福岡で圧倒的ブランドなのか(中)
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福岡では圧倒的ブランド「グランドメゾン」
積水ハウスと福岡市の関わりは、天神ビッグバンだけではない。今年3月末に閉館した九電記念体育館は、03年に九州電力(株)から福岡市に譲渡されていたが、その後は積水ハウスが買い受けていた。隣接するメルパルクホール福岡(福岡郵便貯金会館)跡地でも積水ハウスがマンション建設を行ったが、九電記念体育館跡地でも、「グランメゾン浄水ガーデンシティ セントラルフォレスト」(2棟、総戸数297戸)の開発が予定されている。閑静な高級住宅地として知られる浄水エリアは、すでにグランドメゾンのまちとなっているのだ。
福岡で分譲マンション・グランドメゾンといえば、ハイクオリティマンションとして高い知名度を誇り、「販売開始」などの広告を打たずとも早期完売することで知られている。昨今、中央の大手や新興マンションデベロッパーの供給が増加しているが、積水ハウスはこのような“黒船”ではない。福岡市との関わりは実は意外に古いのだ。
1982年から埋め立てが始まったシーサイドももちエリアは、89年に開催された「よかトピア(アジア太平洋博覧会)」によって広く知られるようになるが、同時に福岡市における積水ハウスの地位を確立したのも、シーサイドももち地区の再開発によるものが大きい。戸建住宅の開発から始まり、共同事業で複数のマンションを供給したほか、百道、大濠などの名を冠したグランドメゾンブランドの供給が始まったのもこのころだ。
赤坂から唐人町までの中央区および室見から西新までの早良区を中心に、年間5棟前後のペースでグランドメゾンの供給を続けてきた同社は、06年からはアイランドシティ(東区香椎照葉)でも積極的に供給を開始した。1994年に埋立工事に着手し、2005年にまちびらきが行われたアイランドシティは、照葉小学校や照葉中学校の開校を経て、12年末には人口が5,000人を突破した。14年11月には福岡市立こども病院が開院したほか、照葉スパリゾートなどの商業施設の開業もその後続いた。人工島計画当初の鉄道軌道敷設は夢物語となったが、タワーマンションの建設などにより、すでに人口は1万人弱にまで増加している。
アイランドシティでは辛抱強く開発に関わる
積水ハウスは、まちびらき当初から戸建やマンションなど数多くの住宅を供給し、アイランドシティの住宅はそのほとんどを積水ハウスが建てたといっても過言ではないほどの供給量を誇る。西日本鉄道により設置が進められるバスロータリーや建設中の福岡都市高速6号線などアクセス強化は進むものの、鉄道軌道がなく目立った集客施設もないアイランドシティはこれまで数多くの課題を抱えてきた。
「多額の税金を投入した人工島を住宅だけの島にしてどうする」「住宅はそもそも本当に売れるのか」「積水ハウスは福岡市に恩を売らされた」など、ネガティブな評判も多かった。一部未開発の住居ゾーンを残し、計画人口(09年12月福岡市公表)はやっと折り返し地点を超えたところだ。「高い」といわれてきたアイランドシティの住宅価格だが、市内中心部のマンション価格高騰からみれば、「割と安い」状況も追い風となった。高級住宅地としてのブランドイメージを大きく変えることなく、積水ハウスが辛抱強く開発してきたからだろう。
(つづく)
【永上 隼人】<COMPANY INFORMATION>
代 表:仲井 嘉浩
所在地:大阪市北区大淀中1-1-88
設 立:1960年8月
資本金:2,025憶9,120万円
売上高:(19/1連結)2兆1,603億1,600万円関連キーワード
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