2024年11月22日( 金 )

熾烈さを増す延命研究競争:寿命1000歳も視野に(後編)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2019年8月2日付の記事を紹介する。


 日本ではあまり知られていないが、「インターネットの生みの親」とも呼ばれているアメリカ国防総省の先端科学技術研究所(通称「ダルパ」)の存在は世界を変える新技術の開発においては欠かせない。なぜなら、インターネットをはじめ技術関連の未来研究においては、当初の目的は軍事そのものであることが多いからである。

 このダルパが、近年、国家予算の半分近くの資金の中から、強力に研究開発を進めているのが、人体改造計画に他ならない。本来の目的は、戦場で致命的な傷を負った兵士の人体の再生技術や、兵士の運動能力や耐久能力を飛躍的に高めるための細胞研究であった。

 たとえ戦場で腕や足が失われたとしても、そうした兵士の肉体を速やかに再生するための技術。はたまた、1週間、2週間にわたり、飲まず食わず、睡眠をとらなくとも判断力や決断力に影響を受けないような、人間の意識改革と生命力の強化に細胞研究の成果を応用しようとするものである。

 歴代のアメリカ大統領も、このダルパに対して、「人間の脳の活性化について研究を進めるように」との特別な指示を出してきた。いわば、ホワイトハウスお墨付きプロジェクトなのである。こうしたアメリカ政府の潤沢な研究開発費のお陰で、アメリカにおいては、人体の再生研究に関する国際会議が頻繁に開催されてきた。

 例えば、2014年末には、「人類の科学史上最大」と呼ばれる寿命延長のためのバイオテクノロジー会議が開催された。ハーバード大学をはじめ、世界の名だたる延命、生命科学の専門家が一堂に会し、かつてないほど創造的な研究成果が相次いで発表された。

 具体例をあげれば、マウスを使った実験がある。人間に例えれば「60歳の高齢者を20歳の青年に若返らせる研究」の成果も発表された。これこそが、冒頭に紹介したNMNの力である。何しろ、糖尿病のマウスを使った実験で、肥満状態にあるマウスにNMNを一週間飲ませた結果、血糖値が大幅に低下。「糖尿病も改善し、老化した膵臓の機能も蘇った」と報告されている。夢のような話だが、「60歳を過ぎた女性が20代に若返り、出産も可能になる」という。

 更には、近年、遺伝子の解析スピードが急速に上がっており、ビッグデータの解析手法を使うことにより、長寿遺伝子の解析も長足の進歩を遂げている。その研究対象になっているのがサーチュイン遺伝子である。現在、7種類のサーチュイン遺伝子の存在が確認されている。普段は眠っているこれらの遺伝子を覚醒させることで、大幅な延命効果が期待できるというから、アラブの大富豪に限らず、ビル・ゲイツ氏やウォーレン・バフェット氏ら世界の富裕層の間ではこの話題でもちきりのようだ。

※続きは8月2日のメルマガ版「熾烈さを増す延命研究競争:寿命1000歳も視野に(後編)」で。


著者:浜田和幸
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