空気の質が問われる時代に（後）

日韓ビジネスコンサルタント　劉　明鎬　氏

　既存の空気清浄機は、P.M2.5までは何とか対応できるようになっているが、粒子がもっと小さくなったガス性の物資などは、フィルター方式では除去できないのが現実である。ところが、既存の空気清浄機の限界を乗り越えた新しいコンセプトの空気清浄機が韓国で発売され、大きな話題を呼んでいる。

　（株）HAPPY GATE【代表洪鎮成（ホン・ジンソン）】のO²MOREという製品である。同社製品に採用されている技術は、現代自動車の高級乗用車などに、モジュールとして10年前から採用され、立証された技術で、サムスン電子の半導体工場の各種ケミカル成分を浄化するのにも活用されている。

　今まで自動車、半導体工場などで活用されていた技術を利用して、家庭用、業務用の空気清浄機を開発したわけである。今までの空気清浄機にはない同社の空気清浄機の大きな特徴の1つに1秒間に30名が呼吸できる分量の酸素クラスターイオン（Oxygen Cluster Ion）を発生させる機能を持っていることがあげられる。

　運転中、眠くなるのも、酸素不足時の現象だ。ストレスで脳が酸素を多量に必要としているとき、脳が酸素を筋肉などから奪っていくので、人間は肉体的な疲労感を感じるのである。

　酸素は集中力を高めて学習効果を上げるうえでも、欠かせない。O²MOREは酸素クラスターイオンを大量に供給するので、部屋全体の空気の質がよくなることはもちろん、空気が乾かず、少し湿気を帯びるようになることも、特徴である。

　喘息など呼吸器系の疾患を患っている方は、効果がすぐ実感できるそうで、とても喜ばれているという。また睡眠の際、この空気清浄機をそばにおいて床に入るという方も多い。

　もう1つの大きな特徴は消臭効果である。もちろん、既存の空気清浄機も一定の消臭効果はある。ただ、既存の製品はフィルターで匂いを取り除いているが、同製品は酸素クラスターイオンがにおいの分子にくっつき、においの分子を分解するため、その効果は抜群である。たばこのにおい、食べ物のにおい、加齢臭、カビのにおいなどで、困っている人も多いが、消臭効果において、同製品は、ほかのどの製品にも負けないくらい強力である。

　殺菌効果にも優れている。殺菌効果が一番優れている製品はオゾンを使った製品である。しかし、オゾンが大量になると、人体に有害だということは皆さんご存じだろう。殺菌効果は目に見えるわけではないので、効果をアピールするのが難しいが、同製品はバクテリアなどの各種細菌を90％以上除去する効果があるという。

　最後になるが、シックハウスの主な原因で、既存の空気清浄機では除去できないガス性の有害物質・ホルムアルデヒドが大きな社会問題となっている。たとえば、美容室などに務めている女性はパーマ液などから発生するガス性の有害物質をいつも吸っているので、とても健康に悪いという。同製品の発売は、このような場所で働く人にとっても朗報である。

　世の中が変化し、空気の質にこだわる時代になりつつある。今後、いかに空気の質を上げていくかが大きな課題である。

（了）