2024年09月29日( 日 )

中国経済新聞に学ぶ~増税で日本旅行はどれくらい値上がりするか(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

消費税率10%で外国人観光客への影響は?

 消費税率が8%から10%に上がると、この2ポイント分の変化が外国人観光客に一体どれほどの影響を与えるだろうか。ショッピングについては、2016年5月1日以降、日本の観光庁は消耗品と一般物品の免税対象額を5千円に引き下げ、外国人観光客は5千円以上購入すれば免税措置を受けられるようになっており、全体として消費税引き上げの影響は受けない。

 外食では、観光客1人が日本を旅行し、ホテルで食事をして2,500円(税抜き価格)になった場合、現行の8%の税率では支払う消費税は200円だが、10%に引き上げられると250円になり、引き上げ前後で50円の違いがある。

 日本のホテルは比較的高額で、1人1泊4千円(税抜き価格)として計算すると、現行の8%なら消費税額は320円、10%になれば400円になり、80円の差になる。

 以上は観光客1人が日本で食事を1回し、ホテルを1泊利用した場合の価格計算で、全体としての影響はそれほど大きくはないように見える。ただこの計算の前提となるのは、消費税率引き上げ後もレストランやホテルが値上げをしないことだ。実際、消費税率の引き上げが近づき、増税による売上高の減少を避けるため、日本の多くの業者が値上げを表明している。今年4月以降、一部の飲料、乳製品、食品、化粧品、日用品などがそろって値上げされた。また複数の鉄道会社も運賃値上げを計画しており、例えば、名古屋市営地下鉄や沖縄都市モノレールなどはすでに値上げを発表した。

日本旅行は税金の種類が多すぎる

 消費税引き上げだけでなく、日本は欧州などの国に学んで、今年1月7日から、日本を出国するすべての個人を対象に国際観光旅客税(出国税)を徴収することとした。1人1回あたり1千円が徴収される。

 またホテルにかかる税金の「宿泊税」がある。一般的に1人1泊あたりの宿泊料に基づいて税額が決まり、都市や地域ごとに標準は異なる。安ければ100~200円、高ければ1千円になり、京都市では1人1泊5万円以上の宿泊料であれば1千円が徴収される。大阪市には宿泊税のほかに温泉設備のある宿泊施設で徴収する「入湯税」がある。同市には温泉旅館と温泉施設が約17カ所あり、規定により利用者は1人1日当たり150円を徴収される。

 1人分で計算すると、上記の税額はそれほど大きなものではないが、累積すればそれなりの費用になる。出国税は日本の観光局のデータでは、17年には日本人1,788万9千人が出国し、外国人2,869万1千人が日本を訪れ、計4,658万人に上った。これに基づけば、出国税の施行後、日本には毎年400億円から500億円の収入が入ることになる。

 日本がまもなく施行する新しい消費税率は、日本を訪れる観光客の数にははっきりとした影響は与えないが、日本を訪れる観光客の日本国内での消費額には一定の影響を与えることが予想されるという。

(了)


中国経済新聞を読もう

<連絡先>
■(株)アジア通信社
所在地:107-0052 東京都港区赤坂9-1-7
TEL:03-5413-7010
FAX:03-5413-0308
E-mail:china@asiahp.net

(前)

関連記事