IoT革命は現実になるのか(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
通信機能を追加した結果、ユーザーにより良い機能が提供されるとか、今まで実現できなかったサービスが提供されないと何の役にも立たない。しかし、情報を収集することによって、かなり有益になるサービスも数多くある。その1つに高速道路に設置されたセンサーが挙げられる。
高速道路のある地点にイメージセンサーを設置し、そこを通過した車両の画像を解析し、それを次の地点に送って、通過した区間で何分かかったかを計算すれば、通過に必要な時間だけでなく、渋滞状況も把握できるようになる。そのようなサービスの裏には意識せずともIoTの技術が活用されているのである。
IoTの技術は発展過程で、今後大きな成長が予想されている。市場調査会社であるガートナーによると、世界のIoT市場規模は、2020年に3兆ドルに拡大することが予想されている。またIoTにつながるデバイスの数は208億個にまで増加することが見込まれている。
この有望な市場にアメリカのGoogle、アマゾン、アップルなどのプラットフォーム企業をはじめ、中国、日本、韓国の企業などが続々と参入し、競争が激化しそうである。
それでは、韓国では具体的にどのようなIoTの事例があるのかを紹介しよう。
サムスン電子は冷蔵庫などにセンサーを搭載し、冷蔵庫をホームネットワークのハブにする構想をもっている。
LG電子もウィンドウズ10を搭載したスマート冷蔵庫を出荷し、冷蔵庫を他の家電製品のプラットフォームにしようとしている。
冷蔵庫だけでなく、ウォシュレットや空気清浄機にもIoT技術が採用され始めている。フィルターの交換時期とノズルの清浄時期などをお知らせしてくれる製品を出荷し、ユーザー自身がウォシュレットの衛生と清潔感を維持できるようにした。
空気清浄機にもセンサーがついていて、室内の空気の状態を外でスマホから把握できるようにした。
IoTの活用が最も活発な分野は家電製品だが、ベッドにもIoT技術が採用され、ユーザーの睡眠の質などを管理できるようにしている。体形、睡眠習慣、クッションの好み、健康状態を考慮したうえで、調整が可能になっている。
これほど有望視されているIoTだが、普及のためにはいくつかの課題もある。
データを送信しないといけないので、どうしてもIoTの稼働には電力が必要になる。それをどのように供給するかが、IoT分野における大きな課題となっている。また、IoTに対応できる人材の不足が懸念されている。IoTで取得されたデータの分析には、非常に高度なデータ解析スキルが必要になる。データを解析できる人材の確保がIoT推進のネックになっていると言っても過言ではない。 さらに、IoTでは膨大なデータが発生することになるが、そのデータを処理できる能力なども求められる。膨大なデータは下手をすると、災難になる可能性すらある。
以上のようにIoTは大きな可能性を秘めているのは間違いないが、いくつかの課題をいかに解決するかによって普及が加速するかが決まってくるだろう。
(了)
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