変化する労働市場~弁護士も収入難・就職難に(前)
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かつて「弁護士」といえば「高学歴・高収入」の代名詞ともいえる華の職業で、称賛の的でした。
弁護士の需要に対し、圧倒的に弁護士数が足りておらず、ほぼ事務所を構えているだけで仕事が舞い込んでくるような状況で、宣伝や営業活動の必要もありませんでした。
しかし近年、そんな弁護士業界の状況は急激に変化。若手弁護士たちの収入難・就職難が聞かれるようになりました。弁護士業は今や、資格をとれば一生安泰、という職業ではなくなっているのです。2002年に閣議決定された「司法制度改革推進計画」。この計画で、司法試験の難易度が下がり、卒業すれば新司法試験の受験資格が得られる法科大学院が全国に創設。11年には司法試験予備試験の合格者も、受験資格を得られるようになりました。
これにより、弁護士の数は年々、急速に増加。日本弁護士連合会(日弁連)によると、1950年の弁護士数5,827人(内、女性0.1%)に対し、2017年は3万8,980人(同18.4%)と、約6.7倍にもなります。
弁護士の急増により、取り巻く環境も変化することになります。1人あたりの取り扱い案件数が減少し、顧問料や相談料などの価格競争も起こるなど、弁護士の収入は年々減少の一途をたどっています。
日弁連の調査によると、2000年の弁護士の年間所得金額の平均値は1,701万円、中央値は1,300万円。これに対し、14年の平均値は907万円、中央値は600万円。これらを比較すると、この14年間で平均値は794万円、中央値は700万円の減少。中央値だと、46%も所得が減っているのです。ちなみに、平均値は一部の高所得者により全体の平均が押し上げられるため、実態とより近いのは中央値だといえます(表1)。さらに新米弁護士を雇う余裕のある事務所も減り、せっかく試験に合格しても、就職先がないという悲惨な状況に。たとえ雇い先が見つかり、いわゆるイソ弁として置いてもらえたとしても、初任給は30万円貰えれば上々。資格取得で要した多額の借金(約600万円~800万円)に加え、年間50万円~100万円程度の弁護士会費の支払いに苦しむ新米弁護士も多いのです。
勤め先と固定収入があるだけまだ良い方で、最近はイソ弁どころか法律事務所の一部を借りて開業し、1人で顧客開拓を行わなければならないノキ弁(軒先弁護士)や、それすらままならず自宅で開業するタク弁(自宅弁護士)も珍しくありません。
弁護士の独立、といえば一昔前は「弁護士修行を終え、1人前になった証」と見られていましたが、現在はすぐに独立せざるを得ないという、若手の意に反するようなケースが広がっているのです。
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