北洋建設総帥・脇山章治氏の次なる戦略は?(8)
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九州みらい建設グループとは(3)
北洋建設、周辺事業をターゲット
北洋建設グループの関連企業については、次回(9)で報告する。そのなかで、北洋建設の事業中核はこのシリーズ(5)で述べた通りに、住友林業から木造住宅受注(特色として1件当たりの単価が1,600万円を超える)、NTTからの鉄塔工事受注、ビル・マンションの大型回収工事などである。加えること、大学などの学校法人や社会福祉法人からの受注する大学、幼稚園、保育園の新築工事がある。とくに幼稚園・保育園に関しては、自社グループに社会福祉法人を持っているのは強みである(福岡市発注の中央保育園を受注した)。さらに(株)セブン-イレブン・ジャパンから受注するコンビニエンスストアの新築工事、店舗・工場新築工事など幅広い。極力、同業他社があまり振り向かない、間隙を縫った領域の発掘に励んでいる。伸張著しい領域に果敢に挑戦するというのは、『市場リサーチがしっかりとしている』という証明である。また、マンション分譲の案件は請けないことを基本にしているが、最近は収益物件の受注に手を出している。別の意味での、『不動産絡みのビジネスモデルを組み立てた』と見立てられる。これだけの受注メニューをそろえると、北洋建設本体の完工高は150億円を突破するであろう。
関連グループというか、資産管理会社の(株)ダブリュコーポレーションからのは受注である。この案件は、(株)九州みらい建設グループの各企業へ発注されている(脇山総帥として、長年認めてきたストックビジネスの件を、2005年から実現へ歩み出した。この件については、後のシリーズで詳細をレポートする)。ダブリュコーポレーションから受注できるのが、(株)九州みらい建設グループの結集軸の強みの1つとなるだろう。
(株)九州みらい建設グループの案内からわかることは、5社での受注高総数が183億円であることを(6)で指摘した。では、『北洋建設が当面、完工高150億円をキープして、他の4社が健闘して受注量を増やしてグループ全体の受注額を膨張させていくのが、脇山氏の優先戦略課題か』というと、疑問が残る。
このシリーズ(6)(7)で述べた通りに、各企業4社とも、経営上の問題点を多く抱えている。頑張れば単純に受注が伸びるものでもない。その脆弱性は、クレバーな脇山総帥にはわかりきったことだ。受注高増強が真の狙いではないことは、明白である。頼まれれば断らない性分
九州みらい建設グループの傘下に入った4社は、いろいろなきっかけがある。松島建設工業は『知人の紹介』、扶桑建設は『住友石炭鉱業から事業継承の打診依頼』、三ツ矢建設は『福岡銀行グループからの再建依頼』、西釜建設は『住友林業からの命令』と、さまざまなパターンになっている。それでもやはり、住友林業関連が多い。
かつて脇山氏は、『こちらが望むのでなく先方から頼まれてきたから、再生案件を引き受けた』と語ったことがある。たしかに、恩義ある関係者から頼まれれば、真剣に受け止める懐深さ・義理堅さがある。しかし、それだけ単純ではなかろう。松島建設工業、三ツ矢建設の本社不動産は、ダブリュコーポレーションの名義のものになっている。この2社の整理整頓をする際に、緊急の不動産処分の案件が生じた。そこで仕方なくか、積極的か、どちらの動機かはわからないが、結果としてダブリュコーポレーションの所有物件になった。
このあたりから、脇山総帥の脳裏には長期戦略が練り上げられたのであろう。九州一の完工高の建設会社グループを目指すのではなく、他の目的を確定したのである。
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