拡大するeスポーツ世界市場 今までのゲームとはライブ観戦が別次元(前)
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(株)ジェミニエンタテインメント 代表取締役
黒川塾 主宰 黒川 文雄 氏eスポーツの世界市場規模は、2018年度の906億円から2021年には1,650億円まで拡大すると予想されている。(Newzoo社調べ)eスポーツに注目するゲームメーカーの意図から世界と日本市場の違い、業界が抱える課題まで、ゲーム業界の動向を追った。
90年代の戦いの聖地、ゲームセンターがルーツ
ビデオゲームで対戦し、勝敗を競う「eスポーツ」。近年、国内ゲーム市場の動向は、音楽市場の動きと重なる。ライフスタイルの変化などで近年はCDの販売が激減した一方で、前年比8.9%増の3,776億円と音楽のライブ・エンタテインメント市場が伸びている(ぴあ総研の2018年ライブ・エンタテインメント市場調査)。ゲーム業界でも、ゲームソフト販売はメーカーの事業の中心だったが、ダウントレンドになった。そして今、音楽ライブのように多くの人と一緒にイベントを観戦して盛り上がるeスポーツにゲーム業界全体が注目している。
eスポーツのライブ感のルーツは、強いプレイヤーが集まった90年代のゲームセンターにある。当時の主流だった対戦型の格闘ゲームは、相手があってこそ成り立つ。強いプレイヤーと対戦したいとゲームセンターに多くの人が集まり、リアルタイムでのライブ感が多くの人を引き寄せた。
マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ(MOBA)(※1)やシューティングなど、eスポーツのジャンルが多様化しているが、ビデオゲームでの対戦をスポーツと呼べるのかともいわれている。車のレースも同じ経過をたどっており、F1が登場したころから「モータースポーツ」と呼ばれるようになった。全身でドライビングに集中し、ヒトやマシンのポテンシャルを追求して戦うモータースポーツのあり方は、今のeスポーツにも当てはまる。持久力や集中力、反射神経、動体視力など、eスポーツの試合に必要な能力は実は幅広い。
※1:複数でチームを組んで戦い、敵の陣地を破壊して勝利を目指すゲーム。
高額賞金大会は法規制がネック
世界ではIT企業やゲーム企業が、スポンサーとして大会に協賛や資金提供を行っている。2018年のeスポーツの賞金は、最高総額で約28億円、優勝賞金は約12億円におよぶ。世界では、eスポーツでトップを目指すことが多い一方で、国内eスポーツ市場が海外ほど拡大していないのは、法規制がネックになっているからだ。刑法賭博罪や景品表示法の規制のため、国内では海外のように多額の賞金を出すことができなかった。だが、第三者からの資金であればプロ・アマ問わず高額な賞金を出せるという消費者庁の判断が9月12日に(一社)日本eスポーツ連合(JeSU)に下りたことは業界の新しい一歩だ。
(つづく)
【石井 ゆかり】法人名
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