2024年11月21日( 木 )

拡大するeスポーツ世界市場 今までのゲームとはライブ観戦が別次元(後)

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(株)ジェミニエンタテインメント 代表取締役
黒川塾 主宰 黒川 文雄 氏

ChinaJoy2019(写真提供:SQOOL.NETゲーム研究室/黒川塾)

オリンピック種目になるか?

 注目が集まるゲームのタイトルもプレイヤーも、移り変わりがとても激しい。「フォートナイト」は導入されてわずか2年だが、急速にファンを獲得し、今では国内で約5,000名(※愛知県・愛知インパクト2019実績)が集まるイベントが開催されるほどの人気だ。

 オリンピック種目になるのではともいわれているが、トレンドの格闘ゲームなど暴力的な要素があるものは認められないため、この問題が解決されなければeスポーツはオリンピック種目にはならないだろう。

 また、これから業界として解決していくべき課題は多い。9月12日に下りた消費者庁の判断にも関わらず、9月15日に東京ゲームショウ2019で開催されたeスポーツ大会の「ストリートファイターⅤ」で優勝した「ももち選手」は、JeSUプロライセンスを辞退していることから、満額の賞金を受け取れなかった。本来のスポーツと同じように強い人に開かれたフェアな業界にしていきたい。

ゲーム業界はどう動くか

 家庭用ゲームメーカーにとっても過去のゲームタイトルで大規模なeスポーツ大会を開催することで、ソフト販売の促進や大会の運営事業など国内市場が広がる。今後はプロ野球のようにeスポーツ試合の配信をしたり、地上波の放送権をビジネス化することも視野に入れているのではないだろうか。

 スマートフォンのソーシャルゲームは開発に5億円、テレビCMなどの販売促進に2~3億円かかるが、成功するのはおよそ10本に1本だ。そのため多くの人が観戦して盛り上がり、ライブコミュニティをつくる可能性を秘めたeスポーツにゲーム産業界は注目している。

 eスポーツ大会開催など、国内市場が拡大するのはこれからだ。大会を企画運営する会社はここ数年で増えており、「e-sports AQUARE AKIHABARA」などのeスポーツ店舗施設も増えている。大阪にeスポーツ特化型ホテル「e-ZONe~電脳空間~」ができ、従来のインターネットカフェがeスポーツ専用カフェに変わる場所も出てきている。

 海外に目を向けると、中国の世界最大規模のゲーム開発会社のテンセントがeスポーツ業界のキープレーヤーだ。メジャータイトルをもつライアットゲームズ、UBISOFT、Supercellなど多くのゲーム企業の株式をテンセントが所有している。「第18回アジア競技大会 ジャカルタ・パレンバン」のeスポーツ競技種目では、(株)コナミデジタルエンタテインメントの「ウイニングイレブン2018」以外はすべて中国資本系の企業だった。

 「フォートナイト」など世界的な人気ゲームには海外企業がならび、Googleの「Stadia」などゲームの定額制(サブスクリプション)が進んでいる。世界と戦うことが求められる時代こそ、その場でしか味わえない観戦体験で盛り上がるeスポーツによるライブコミュニティをつくることが日本のゲーム業界の新しいあり方ではないだろうか。

(株)ジェミニエンタテインメント代表取締役・黒川塾主宰・黒川 文雄 氏
(株)ジェミニエンタテインメント代表取締役・黒川塾主宰・黒川 文雄 氏
eスポーツのすべてがわかる本
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(了)
【石井 ゆかり】

(前)

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