疾病リスク低減表示拡大と公正競争規約はトクホの救世主となるのか?(1)
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2015年4月1日に誕生した機能性表示食品制度は、それまでの「特定保健用食品(トクホ)」や「栄養機能食品」の行政主導の動きから、官邸主導の決定となり、食品の機能性表示の仕組みを根幹から変えた。とくに事前承認制から事後規制への移行、企業の自己責任による届出制、科学的根拠に新たに研究レビューの採用、届出書類の原則全面公開など、これまでは考えられなかったさまざまな取り組みが実現した。一方で、これらの流れに、業界自身が対応しきれていないのでないかという疑問も浮かぶ。トクホと機能性表示食品との棲み分けは、多くの業界関係者がさまざまな意見を発するものの、明確な方向性はいまだ見えてこない。
機能性表示食品は5年目に入り、届け出完了数も実数で2,126件(8月30日現在)。2017年の届出数は452件、18年は690件となっており、令和に入ってからも届出受完了数は順調にその数を伸ばしている。
一方で特定保健用食品(トクホ)の届出総数は1,068件(19年8月28日現在)と、ピーク時の16年の約1,200件から減少傾向だ。年間の許可件数も17年度は30件、18年度は39件で、18年に至っては機能性表示食品の約20分の1という状況だ。
これは、トクホ制度で初めて景品表示法違反に問われた事件も大きく影響している。16年9月23日、消費者庁は、日本サプリメント(株)が販売していたトクホ6商品に表示通りの成分が含まれていないにもかかわらず販売を続けていた問題で、これらのトクホ6商品の表示許可を制度開始後、初めて取り消した。
問題はここからで、この事件を受けて再発防止を目的にトクホ全商品について「トクホ全商品について成分含有量、販売実績、失効予定の調査」が行われ、同年11月1日に結果が発表された。それによると、販売されているトクホの商品数は366商品、調査が間に合わなかった7商品を除く359商品について、成分含有量に問題はなかったとのことではあった。
しかし、そもそも当時1,271商品が許認可を受けていながら7割を超える903商品が販売されていないという調査結果は業界に衝撃をもって受け取られ、追い打ちをかけるように消費者庁から「販売予定のない商品に対して失効届の提出」を勧告された(現実的に「失効届」を出す予定との回答をしたのは196商品にすぎなかった)。
(つづく)
【取材・文・構成:継田 治生】法人名
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