北洋建設総帥・脇山章治氏の次なる戦略は(12)
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積み重ねてきた収益物件100億円は通過点か
再度別表を見ていただきたい。今回の調査で判明した、ダブリュコーポレーション(以下、W社)の保有する物件明細である。一部の所有名義に北洋ホームズとあるが、北洋ホームズはW社の旧社名だ。現在の本社地や旧本社地、買収した企業の本社や純然たる収益物件まで、さまざまだ。北洋建設はゼネコンとしての基盤を固めながら成長し、その陰で脇山家は着実に資産形成をしてきたと言える。
2002年以降、これだけ物件を増加させた建設業者もいないであろう。生コン商社の地場大手梅谷商事グループがある。あの企業の絶頂は1975年から79年あたりであった。その期間に現在の基本財産を膨張させている。この例をみるまでもなく北洋建設の勢いが続く間はW社の資産増加は続くであろう。あと10年は続くとみられる。そして現時点では100億円規模の資産を形成したのではないかと推定するのである。
まだ判明できない資産は隠されている
それでは、W社が所有する資産価値はどれくらいになるのだろうか。別表の不動産の面積と路線価を調べ、価格を算定すると合計で27億円程度になった。実勢価格は立地によって大きく異なるが、一般的に路線価は実勢価格の80%程度と言われるので、当てはめると約34億円となる。あくまで土地のみの金額だ。ただ、これでは土地の上に立つ建築物の価値がわからない。そこで不動産に設定されている担保の状況を見てみた。別表に記載しているのが根抵当権の極度額の金額である。合計すると約69億円だ。
根抵当権の極度額は一般的に、融資額の110~120%に設定されると言われる。ただ必ずしも不動産価値に対して最大の借入を行うわけではなく、担保設定の年代によって不動産価値も変化するため、極度額から資産価値を類推するのは難しいのだが、最低ラインの目安にはなるだろう。つまり今回の判明分の物件の資産価値は、少なくとも69億円で、実際はその何割増しかの価値になるということだ。このほかにも、W社の所有と思われるが確認ができなかったものも複数あり、資産の総額はさらに膨らむだろう。また北洋建設グループは、佐賀でコンクリート二次製品製造の興和日東(株)を傘下に置いたが、同社の大株主はW社だ。興和日東は民事再生した有明ゴルフ(株)(武雄カントリークラブ運営)のスポンサーである。興和日東は本社や工場を自社で所有しており、こうしたことを加味して考えれば、W社の資産は100億円規模と言っても言い過ぎではないだろう。
ここまで見てきてわかるように、北洋建設はM&Aを駆使しながら建設会社としての基盤を拡大してきた。並行して上手に不動産を取り込み、W社で資産も蓄えてきた。今後、M&Aを加速させるとの話も聞かれており、北洋建設グループの基盤はさらに拡大するだろう。そうした戦略の一環が、今回発足した九州みらい建設グループ構想ではないか。
北洋建設の展開の加速は、W社の資産形成の加速につながる。脇山家にとって資産100億円は、通過点に過ぎないようだ。<COMPANY INFORMATION>
(株)ダブリュコーポレーション
代 表:脇山 章治
所在地:福岡市博多区博多駅東2-6-23
設 立:1976年12月
資本金:1,000万円関連キーワード
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