リアルの売り場をイノベーションで刷新 失地回復を図り、新たな需要も喚起(中)
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衣料品復活の切り札「インナーカジュアル」もSPAで改革
ユニクロを始めとする有力専門店に侵食された衣料品は、SPA志向が鮮明な新業態のインナーカジュアルが切り札。
昨年10月、「イオン船橋店」に1号店をオープン、従来の売り場と比べて客数は倍増、売上も1.5倍と急増し、早くも効果が出ている。
「イオンスタイル」業態のリニューアルや新店で、「大日」「板橋」「津南」「成田」「岡山青江」と次々オープン、8月4日にオープンした「イオンスタイル河辺」には、7店舗目となる最新店舗を設けた。
売り場面積は、現状で600坪、500坪、400坪、200坪と商品構成や売り場効率も考えてさまざまだが、メインは400坪。
インナーウエアでは取り扱う商品が吸湿・速乾・保温といった機能性の「ピースフィット」など、イオンのPB「トップバリュ」が中心で価格も安い。PBアイテムは現在半数程度だが、25年度まで90%まで高める方針だ。
カジュアルウエアもPBを投入しながら、アパレルメーカーの商品もそろえ、普段着として着られるアイテムを手頃な価格で提供している。
ベンチマークにしたと考えられるユニクロとは、機能性を打ち出すインナーでは大きな違いがみられないが、カジュアルウエアでは、ユニクロが基本ベーシックなのに対し、さまざまなアイテムを投入し、幅広いニーズに対応している。
売り場は黒を基調にしたシンプルモダン、什器は既成のものを採用、ヴィジュアルプレゼンテーション(VP)はマネキンも使うが、写真パネルが中心でコストを抑えている。陳列方法も折りたたむといったメンテナンスが不要のフック掛けやハンガーで手間を省き、店舗業務の効率化も進めている。
すでにショップとしてユニット化は完成しており、現時点では、ライバルのユニクロとはカジュアルウエアでは差別化ができているが、主力のインナーウエアでは追随しているのが現状だ。
今後は商品をどう進化させていくのかが課題で、何より、ユニクロがフリースやヒートテックで大ブレークしたように、ヒット商品の登場が待たれ、そのためには、今までにない独自の商品を開発することが求められている。
イオンでは、今後、すべての店舗にインナーカジュアルを導入する計画で、来年の分社化により、さらに展開に弾みがつきそうだ。
こうして小売最強の勝利の方程式であるSPAで、逆襲に転じているイオンだが、消費者のニーズや要望に対してきめ細かく対応する編集型の売り場づくりも展開している。
(つづく)
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