2024年12月05日( 木 )

解体工事から産業資源循環事業を徹底管理しエネルギーの完全循環型社会の実現へ

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

解体工事、産業資源循環事業
(株)三和興業

代替りに始まる新しい挑戦

代表取締役 大山 哲寿 氏
代表取締役 大山 哲寿 氏

 社長室に迎え入れられまず目に止まるのは壁にかけられた坂本龍馬の写真、そして「一以貫之」の書だ。そして社長室と事務所を仕切る壁にはいくつもの縦長ガラス窓。ブラインド越しに社員が忙しくしている姿が見える。もちろん彼らからも社長室の様子は一目瞭然。無駄なものがないシンプルな部屋だけにその有り様が印象的だ。

 「この部屋にいるのは朝の限られた時間帯だけです。あとは現場に顔を出しますから」。47歳の代表取締役、大山哲寿氏は笑顔でそう語る。言葉からは、社員にどう向き合っていくかの気概が見て取れる。

 社長に就任したのは8年前だ。創業者の父親から同社を引き継ぎ、そこから大山氏の挑戦はスタートした。自分なりの経営理念で会社を牽引していこう。2代目なら誰しもそう考えるのかもしれない。実際、先代と大山氏はずいぶんタイプの違う経営者のようだから、同じやり方でいけるわけもない。代替りは、龍馬の海援隊よろしく(株)三和興業の新しい船出となった。

篠栗町と包括提携協定締結

 大山氏が考えたのは、事業を単なる営利企業ではなく社会に役立つ存在まで押し上げることだ。青年会議所のメンバーとして学ぶなかでたどり着いた答えだという。エネルギーの完全な循環、そして災害に負けない社会づくりに貢献するという。千葉を襲った台風災害について語る。「インフラが整っていてもあれだけの被害です。振り返れば東日本大震災ではさまざまな規制もあり、何もできなかった。ずっと取り組んできてようやくここまできたというところです」。社長就任後にはグループ企業を4社設立し、エネルギーや災害、インフラ整備に深く関われる組織づくりに邁進してきた。

 その成果の1つが、2019年10月の同社と篠栗町との包括提携協定だろう。防災対策、災害対応や暮らしの安全、そして教育について一体で取り組むとする。篠栗町三浦正町長の「解体工事から最終処分まで各工程を徹底管理し、循環型社会の実現に向け尽力されている」との評価に対し、大山氏は「災害時の停電には当社の太陽光発電システムと蓄電池を。また、社会科見学として子どもたちに当社のプラントを見てもらい、環境の大切さについて学んでもらいたい」などの具体的なプランを提示し喝采を浴びている。

篠栗調印式 環境に対する意識の高さと取り組みが高く評価された
篠栗調印式
環境に対する意識の高さと取り組みが高く評価された

最新鋭の設備で完全循環を

最新鋭の高度選別プラントが資源の循環を実現
高度選別プラント
最新鋭の高度選別プラントが資源の循環を実現

 同社がスタートしたのは1963年。解体業と産業資源循環事業を主たる業務とするが、これまで手がけた実績では県内屈指の存在である。解体現場、新築工事現場、各種企業から出る廃棄物の処理を一手に引き受け、所有の施設でリサイクルする。廃棄物を土木工事で使われる資材に変えるのだ。継続可能な循環型社会の創造に向け3Rという言葉はよく耳にするが、同社が目指すのはその上を行く「High 3R」だ。

 リサイクル施設として県内に3つの事業所を有する。土や再生砕石、Fe石灰処理土を扱う「古賀営業所」。そして飯塚市の「エコセンター」と「ふくおかエナジーパーク」。前者では産業資源の再資源化を行い、後者には大規模な太陽光発電施設を設置している。ここで発電された電気は同社のリサイクルプラントに使われるが、発電量は年間でおよそ816kWhにのぼり、二酸化炭素削減量は259tになるいうから環境への貢献度は大きい。3つ目は篠栗町の「リサイクルセンター」だが、ここでは最新鋭の高度選別機器を備えることで、一般的には困難とされる種類の廃棄物まで処理し、ほかでは真似のできないリサイクル商品の製造を可能にしている。

大規模太陽光発電所「ふくおかエナジーパーク」
ふくおかエナジーパーク
大規模太陽光発電所「ふくおかエナジーパーク」

仲間とともに実現していく

 こうした社会貢献としての事業活動をさらに推進していくために必要なのは、もちろん人材だ。同社では新卒から中途、外個人の技能実習生まで幅広く受け入れているが、これまで述べてきたことからもわかるように、同社を単なる解体業者、産業資源循環事業者だと捉えては見誤る。環境の時代といわれる21世紀だ。このような事業の在り方を模索する同社なら、企業としての可能性は無限に広がっているだろう。「言われたことをやるだけでは駄目です。サラリーマンの枠を超えた発想力をもち、突き抜けてほしいですね。そんな人材のために、私が必ず活躍の場を用意します」と、大山氏の期待も大きい。

 壁にあった「一以貫之」は論語にある言葉だが「いつをもってこれをつらぬく」と読み、1つの思いを曲げずに貫き通すこととある。しかし大山氏はもう1つ大切な意味が含まれるという。「1人ではなく仲間と助け合って実現していくことです」。龍馬の無血革命の精神からは、これからの時代に本当に必要な志の大切さを感じるという。三和興業がどんな職場か。ここで語り尽くすには限界がある。しかし、賢明な読者ならこうした大山氏の話しぶりからきっと何かを感じ取ってもらえるだろう。

<COMPANY INFORMATION>
代 表:大山 哲寿
所在地:福岡市東区千早2-2-43
設 立:1963年4月
資本金:3,000万円
TEL:092-671-1855
URL:http://www.sanwa-iec.co.jp/recruit/index.html

25周年記念出版雑誌 『一樹百穫』 一覧

関連キーワード

関連記事