徴用工裁判と日韓請求権協定の真実を知る重要性
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は情緒的に「韓国はけしからん」とする姿勢は反知性主義の象徴であると断じた12月7日付の記事を紹介する。
メルマガ第2436号記事
「日韓問題経緯を正確に知ることが先決だ」に記述したが、日韓問題の経緯を分かりやすく解説する良書が刊行されている。
『徴用工裁判と日韓請求権協定:韓国大法院判決を読み解く』
(現代人文社、本体価格2,000円)関係資料も網羅されている。多くの者が提示する疑問をQ&A方式で分かりやすく解説している。
日本では、いささか知性を欠く韓国批判の主張が流布されているが、真実に真摯に向き合い、過去の経緯を正確に把握して対応することが重要だ。こうした良書に接し、知性に基づく対応を示すべきだ。
主権者の多数は偏向したマスメディアというフィルターを通した情報しか得ておらず、政治権力によるメディアコントロールの餌食になってしまっている。
安倍首相は韓国に対して敵対的姿勢を示し続けている。安倍内閣は徴用工問題での韓国大法院判断に対する報復措置として対韓国貿易政策を変更した。徴用工問題と貿易政策のリンクを安倍内閣は懸命に否定しているが、両者の因果関係を強調してきたのは安倍内閣自身である。この安倍内閣の行動が韓国によるGSOMIA破棄や韓国による日本のホワイト国除外措置を招いた。
韓国政府はGSOMIA執行寸前に破棄延期を決定したが、決して日本外交が勝利したということではない。日本が適正な対応を示すための時間的猶予を与えたものに過ぎない。日本は徴用工問題について韓国と対話によって相互理解を深めたうえで問題解決に当たるべきだ。同時に、韓国に対する通商上の嫌がらせ措置を中止するべきである。
韓国大法院が昨年11月29日、三菱重工に対して、元徴用工に対する損害賠償を命じる判決を示した。10月30日には日本製鐵に対して損害賠償を命じる判決を示した。日本政府はこの大法院判決が1965年の日韓請求権協定に反するものであるとして韓国政府に対して強く抗議している。
この判決がその後の通商政策における日本の対韓国敵対政策の原因になったことは、日本政府関係者のこれまでの発言経過から明らかである。
日韓請求権協定には「完全かつ最終的に解決」の文言が記されているが、日本政府はこの文言について、2000年頃までは、国家の権利である外交保護権の放棄を意味するだけで、個人の請求権を消滅させるものではないとしてきた。法廷においても、日本政府は個人の請求権について日韓請求権協定で解決済みと主張することがなかった。
ところが、下級審で日本政府に不利な判断が相次いで示されると、日本政府は解釈を突然変更し、請求権協定で解決済みとの判断を示すようになった。
※続きは12月7日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「日韓問題解決を妨げている反知性主義」で。
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