東京プリンスホテルのジレンマ
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東京タワーから徒歩約2分、まさに足元と言ってもいい場所に東京プリンスホテルはある。現在でも西武・プリンスホテルグループの中核に位置するホテルだ。
筆者は先日、同ホテルに一泊した。遠くから見ると威風堂々とした佇まいに圧倒されたものだが、改めて近くから見ると「古いな」という印象を持った。
2016年4月から1年間休業して改装した成果は、それなりにあるのだが、1964年10月の東京オリンピックに合わせて建てられた築55年の建築物ということもあり、デザインと工法に関しては、どうしても古さを感じてしまう。
東京プリンスホテルについて詳しく調べてみると、ある事実に気づいた。同ホテルは芝公園にあるのだが、公園内では建物を建てられない、建て替えられないのである。だから、東京プリンスホテルは建て替えが不可能な運命にあるのだ。
「では、どうして新築できたのか?」について調べてみると、それを可能にしたのは西武グループ創業者・堤康次郎氏の政治力だと分かった。堤康次郎氏は44代衆議院議長になるほど政治力がある人物で、条例をかえて東京プリンスホテルをオープンさせた。
しかし、強引にホテルを建設したつけはいずれ返ってくる。東京プリンスホテルは根本的な建て替えが必要な状況にあるのだが、前述した通り、公園内に建物を建てるのは禁止されている。
仮に、現在、堤康次郎氏が存命し、卓越した政治力を駆使したとしても、許可が得られることはあり得ない。無理を通せば、いずれ災いが降りかかってくる見本といってもいいだろう。
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