若手ビジネスパーソンに伝えたい仕事の本質~「傍を楽にすれば、仕事はうまくいく」(2)
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(株)Kアライアンス・ジャパン 川邊 康晴 氏
ビジネスに必要なのは未来情報
このころ、情報には3種類あると思いました。1つは「過去情報」。これは図書館や資料館などにあります。次は「現在情報」で、ラジオやテレビ、新聞で今の動きを知ることができます。今は、インターネットで検索すればすぐに情報を入手できます。3つ目が「未来情報」です。ビジネスで最も必要なのは、この未来情報だと考えています。
たとえば、今日は雨が降っていますが、もうすぐ上がるかもしれませんし、すでに上がっているかもしれません。雨について話すとすると、「昨日、雨が降りましたね」や「今、雨が降っていますね」というのも情報です。しかし、大事なのは明日、雨が降るか降らないかです。それによって、たとえば、弁当を製造する会社は、販売数量を想定し仕込み量を判断します。
では、未来情報はどこにあるのか。未来情報は、経営者や幹部の方の頭のなかにあります。これをキャッチすることが、営業のスタートです。訪問して売れなくても、大事なことは、お客さまからどんな情報をキャッチしてきたのかです。誰と会ったのか、その時、どんな話が出たのか。不満や1人言、つぶやきでもいいのです。これをキャッチし吸い上げる仕組みをつくっておかないと訪問したことが無駄になります。
お客さまに提供するのは、未来情報でなければ喜ばれません。そして、情報をキャッチするには、どうすればよいかと考えると、お客さまが本音で話せる関係をつくるのが先だと気づきました。ただ、走り回るだけでは未来情報は入ってこない。だから、人脈インフラをつくる必要があると若い時に感じました。
情報格差は地方企業にとって損失となる
相手が知らない情報など未来情報をもたないと「企業」にとっても利益になりません。東京では当然のように採用されているシステムがありますが、それが、残念ながら九州の社長たちには情報として伝わっていないことも多いですね。これが情報格差です。この情報の格差が、企業利益に大きく影響しています。
この情報格差に気づいたのが50歳頃でした。東京の企業と福岡の企業で売上が同じで、人件費は東京よりも福岡のほうが安いのに、なぜ利益がこれほど違うのか。格差の原因となっているほとんどが、家賃やコピー機、自動車リース代などの販管費でした。
定価はあるが、その時の相場がいくらなのかはわからないというのが原因でした。セメント、石油、鉄など直接原価に関わるところは、相場がでています。しかし、販管費の相場は出ていません。
それが、わかるようになってきました。たとえば、福岡の企業はカラーコピー代として1枚20円や15円、5円などを支払っていますが、相場はもっと安価なケースがあります。
なぜ、相場がわかるようになってきたのかをある大手企業の例で説明します。この会社は、企業のM&Aや資本参加などで、グループ企業や関連企業などが数百社に上ります。それぞれの販管費を比較すると会社によってギャップがあることがわかりました。それで、ある時、同一価格にしようということで、取引先に提案してコストを下げましたが、その額がなんと1,000億円です。1,000億円の固定費が下がったわけです。売上高に換算すると莫大な効果です。その後、この会社は実績を基に、販管費のコスト削減を提案する企業を新しく設立するまでに至り、今では弊社のアライアンス先となっています。
(つづく)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:川邊 康晴
所在地:福岡市中央区大名2-4-19
設 立:2005年9月<プロフィール>
川邊 康晴 (かわべ・やすはる)
1935年、福岡市で生まれる。九州大学法学部卒業後、西日本相互銀行(現・西日本シティ銀行)に入行。92年専務、98年西日本経営情報サービス(現・NCBリサーチ&コンサルティング)社長、2001年会長。現在は、川邊事務所会長、(株)Kアライアンス・ジャパン代表取締役会長。著書に『アライアンス・パワー「三方一両得」の経営』、『傍楽』がある。関連キーワード
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