レオパレス21と、村上ファンド系のレノの抗争は終結へ~レノが突然、振り上げた拳を下ろした!(後)
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ソフトバンクのファンドがOYOに1,100億円出資
OYOは13年、リテシュ・アガルワル氏が19歳で起業。個人経営の既存ホテルをフランチャイズ化して、わずか2年で客室数はインド最大手となった。
各地のホテルオーナーを引き寄せ快進撃を続ける原動力は膨大なデータの分析だ。宿泊の需給やイベント、天候などをAIで分析し、部屋ごとに料金を目まぐるしく調整して収益最大化を図る。その見返りにフランチャイズ料や収益分配を受けるモデルで急成長した。
「1日、4,300万回も料金を変えている。新時代のホテル経営だ」。SBGの孫正義社長は舌を巻き、10兆円規模のソフトバンク・ビジョン・ファンド(以下・SVFと略)を通じて10億ドル(約1,100億円)を出資し話題になった。
OYOは19年、日本に上陸した。ソフトバンクとSVF、OYOの3社は19年4月、合弁会社オヨ・ホテルズジャパン(以下・オヨホテルと略)を設立。AIを駆使する格安ホテルを日本で展開していく。
ネットで完結する不動産賃貸オヨ・ライフを開始
OYOとSBGは19年3月から不動産賃貸仲介事業オヨ・ライフを開始した。オヨ・ライフの日本事業を運営するオヨテクノロジー&ホスピタリティージャパン(以下・オヨジャパンと略)には、SBG傘下のヤフー(現・Zホールディングス=ZHD)が出資した。
オヨ・ライフは空き家や空室をオーナーから借り、ネットを介して貸す。敷金・礼金・仲介手数料は無料、契約手続きはすべてスマホで完結。不動産屋に出向くことはおろか、紙でのやり取りも一切なし。ネットでホテルの宿泊予約をするように即座に部屋を借りられる時代がきた。
OYOが、不正建築で揺れるレオパレスの買収に動くとの観測が株式市場を駆け巡った。狙いはレオパレスが大量に保有している賃貸物件のオーナーだ。既存のオーナーが管理会社から乗り換えることで管理戸数を増やす。不動産賃貸業界には“黒船到来”だ。
レノには絶好のチャンスが訪れた。レオパレス株を取得したのは、OYOがレオパレスのTOB(株式公開買い付け)を実施する際に、高値で売却して売却益を得ることが目的だ。
レノが高値をふっかけたため、OYOのレオパレスの買収交渉は破談になったが、レオパレスの創業者、深山祐介氏が立ち上げたMDIを買収することができた。
売り上げ最低保証が守られなかったビジネスモデル
SBG傘下のZホールディングス(旧・ヤフー)は、OYOとの合弁関係を解消した。当時のヤフーが19年3月から始めた不動産賃貸サービス「オヨ・ライフ」の運営会社に3割出資していたが、19年11月に株式をOYO側に売却した。
ネットでホテルの宿泊予約をするように即座に部屋を借りられというのが謳い文句だった。だが、部屋の確保や稼働率に苦慮。複数のオーナーと売り上げ「最低保証」をめぐり、トラブルとなっていた。契約をめぐる苦情が寄せられて、わずか9カ月で合弁を解消した。
OYOは不動産賃貸事業を、大阪と名古屋から撤退し、首都圏に絞るとしているが、オヨ・ライフは日本からの撤退が取り沙汰されている始末だ。
オヨホテルでも、日本法人のフランチャイズ(FC)となった中小ホテルに対して、売上の「最低保証」が守られないトラブルが続出した。
OYOはインドや中国で質の低い格安ホテルをFC化し、稼働率を上げる仕組みを取り入れて急成長した。もともと、質の高い日本の中小ホテルが、OYOのビジネスモデルになじむのか疑問にされてきた。売上を保証する「最低保証」がきちんと支払わなければ、契約解除の動きが拡大することになる。OYOのビジネスモデルが日本では機能しなかったのだ。
OYOに巨額投資したSBGの孫正義氏の悩みの種は尽きない。
これらはいずれも、この1年に起きた出来事だ。SBG、OYO、MDI、そしてレノ。レオパレスに関わった企業にとって、レオパレスは厄病神だったようだ。そのレオパレスは、臨時株主総会を乗り切っても、事業立て直しの光明は見えてこない。
(了)
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