「北九州市とNTTドコモとの連携協定」キックオフイベント(後)
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2020年1月24日、北九州市(市長・北橋健治)と(株)NTTドコモ九州支社(九州支社長・山崎拓 以下、ドコモ)は、「5G、ビッグデータの活用によるSDGs達成に向けた連携協定」を締結した。これを受け同日、小倉城天守閣(北九州市小倉北区)にて「5G×北九州 近未来の最前線ミートアップ」キックオフイベントが開催され、5G関係者や、地元北九州のスタートアップ企業、一般の参加者など80名におよぶ来場者によって、小倉城天守閣の最上階が埋め尽くされた。
5Gに期待する地元企業などによるパネルディスカッション
■モノづくりにおいて欠かせない検品作業におけるAI外観検査やAI画像処理装置の販売などを行う(株)リョーワ(北九州市戸畑区)のR-Vision事業部事業部長・津田貴史氏は、「現在は大手企業の工場の1ラインに1台約800万円で導入しているAI装置も、ローカル5Gの活用で月額1万円程度のサービスで提供したい」と考えている。同じ企業間であっても工場ごと、ラインごとに設置せざるを得なかった高価な装置も、「ローカル5G」というセキュアな環境でつながることにより、単価を下げることが可能になるのだそう。「ローカル5Gはクローズドの世界になるので、今まで受け入れられなかったお客さまも参入できるだろうし、当社の仕組みをサービスとして広く提供できるようになる」と期待を寄せる。
■国内外で展開するfabbitの第1号店(fabbit北九州)をはじめとしたレンタルオフィス・コワーキングスペースの運営や、IT事業を手がけるHouyou(株)(北九州市小倉北区)代表取締役社長の福岡広大氏は、新たな事業として防災に関するITサービスの展開を考えている。実際に災害に遭った地域に出向き、ボランティア活動を行うなかで現場を見てきた。
「たとえば、全国に約8,300カ所ある避難所の鍵は、自宅職員や関連の人が管理しているが、紛失するなどですぐに避難できない状況が起こっており、衛星通信を使ったIoTでの対策を検討している。復旧・復興に関しては、人が立ち入れないような被災地でも5Gの活用でロボットやドローンが人の代わりに作業し、リアルタイムにすべての情報伝達ができる」と5Gへの活用性について語った。
■システム開発・アプリ開発・ウェブサイト制作を手がけるカラビナテクノロジー(株)(福岡市中央区)執行役員・森正和氏は、マーケティング専門のプロダクトを扱っていた経験のなかから、「企業の重要なデータの管理・運用を行ううえで、オープンなクラウド上ではセキュリティ面で不安視され、良いシステムをつくっても顧客獲得につながらないケースが多々あった。ローカル5Gを利用することで、セキュアでローカルな領域と、インターネットでオープンな領域とをミックスするビジネスが可能になるのではないか」と、マーケティングプロダクト需要拡大への期待を語った。
また、2014年よりコンピュータープログラミング言語レベルの見直しに取り組んでいる森氏は、プログラミング言語「Elixir(エリクサー)」の普及活動を行っており、現在は福岡市をはじめ21カ所のコミュニティの場をもつ。「リモートワークで遠隔地でのプログラミングを行う方法も広げています。これまでサーバーの監視で夜勤も余儀なくされているエンジニアの働き方の改善にもつながります。遠隔地でのプログラミングでは5Gの相性も良いのでは、と期待しています」(森氏)。
■花の取引における新たなプラットフォームを開発中のスタートアップ企業CAVIN Inc.(福岡市中央区)の代表取締役社長/CEO・Yuya Roy Komatsuは、「日本の優れた生産技術を、ウェアラブルデバイスを利用して、生産量の多い東南アジアなどに輸出することで、品質の高い花を多く生産できる。また、自動運転による物流の高度化でも期待している」と花の事業においての5G活用を語り、一般企業のビジネスとしての活用方法について「具体的に2Gから3Gに変わったときは、絵文字から写真を見るようになった。4Gに変わったときは動画が当たり前になり、インスタグラムでもFacebookでもほぼ動画を見るようになった。これが今度は3Dになり、空間に入ることが日常になる――社会に対するインパクトを、例え話で良いから実体験と結びつけることが大事だと思う」と持論を展開した。
■イベントの最後には5Gツール体験会も行われた。基調講演も行ったドコモの本高氏は5Gの可能性について、「スマートシティ」「スマートファクトリー」、そしてとくに「教育」において「AIとVRを合わせたMR(複合現実)の空間伝送は、同じ空間で同じ教材を見ながらクリエイティブな体験ができ、遠隔にいながらも、優秀な人から直に教育を受けることができる」と期待を述べた。
また、本イベントのファシリテーターであり、コワーキングスペース秘密基地の代表である岡氏も、「コワーキングスペースは『サードプレイス』と呼ばれ、自宅や職場とは別のコミュニティであり、自分らしい時間を過ごすことができる第三の居場所であるが、MRのなかも迫力ある没入感で『サードプレイス』に成り得る。体現できる異空間はマインドや気分も変わり、新たなことも勉強してみようかなという意識が起こり、教育効果も期待できる」と体験した感想を述べた。
(了)
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