国境を越えた家族の絆(前)
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福岡市中央区桜坂に(株)クレタ・シラキスという会社がある。定款では食品の製造、販売及び輸出入業となっている。具体的にはギリシャ・クレタ島からオリーブ油を輸入し、通信販売しているのである。この会社のデミトリ・シラキス副社長の国籍はカナダだが、その起源はギリシャ・クレタ島だ。東京上智大学に留学するために日本へやってきた。
そこで福岡市出身の陽子さんと知り会い結婚。日本で生活しながら日本人の食生活、特に食油に関心を持った。と言うよりも懸念を抱いた。サラダ油の弊害にあまりにも無頓着なのである。そこでデミトリ氏は同氏のルーツ・クレタ島からオリーブ油を輸入して日本人の健康に貢献することを決意したのである。まさしく国を超えたビジネスの見本を同氏は体現している。彼の手記を紹介する。日本とギリシャの家族の縁
みなさん、はじめまして。私はデミトリ・シラキスと申します。カナダで生まれ育ちました。妻は日本人で名前は陽子。娘はアドレアナ芽衣子と名づけました。私たちはいま日本に住み、ギリシャのエキストラヴァージンオリーブオイル『フシコス』をつくっています。なぜ、日本でギリシャのオリーブオイル? なぜ、カナダ人が日本でつくるの?わかりづらくて、きっと混乱していらっしゃいますよね。少し説明させてください。
私たちはいま3人家族ですが、日本やギリシャに大切なファミリーがたくさんいます。そのファミリーの絆がなければ、私たちのエキストラヴァージンオリーブオイル『フシスコ』は生まれませんでした。これからお話しするのは、不思議な縁で結ばれた家族の物語です。
ギリシャ・クレタ島のオリーブ農家
私の父はカナダ・ブリティッシュコロンビア州のビクトリアでレストランを経営しています。彼の故郷はギリシャのクレタ島。世界で一番オリーブオイルを消費しているギリシャの中でも、クレタ島民は1人で年間40ℓも消費するという世界でもっともオリーブオイルを食べる島。父はそこで生まれ育ったのです。そのうえ実家がオリーブ農場とくれば、オリーブオイルに関して一過言ないわけがありません。私は子どものころから、ギリシャのエキストラヴァージンオリーブオイルを食べて育ち、そのおいしさや品質について父から徹底的に叩き込まれました。私の血にはクレタ島のオリーブオイルがたっぷり流れているのです。
いまもクレタ島には、シラキス家の伯父さんや伯母さんや従兄弟たちが暮らしています。彼らは山あいにあるツルプサノ地区で300万本のオリーブの木を受け継ぎ、育て、その実でせっせとオリーブオイルをつくっています。「えっ、オリーブの木が300万本!?」などと驚かないでください。本当は400万本かもしれません。正確な本数はわからないのです。あまりに歴史が古すぎて、誰も数える気すら起こらないくらいです。農園には樹齢500年とも700年とも伝わる老木があり、いまも立派な実をつけます。オリーブはじつに強い樹木なのです。
世界中でオリーブの品種は700とも1,000種類ともいわれますが、シラキス家のオリーブはコロネイキ種だけ。原種に近い品種です。当然ですよね。700年前からずっと育てているのですから。(つづく)
<COMPANY INFORMATION>
(株)クレタ・シラキス
代 表:田中 信行
所在地:福岡市中央区桜坂1-3-16
設 立:2013年4月4日
資本金:1,000万円
URL:http://phusikos.jp/関連キーワード
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