「コロナにも暴風にも負けない」~自然災害の住宅防水対策として注目を集める「OSORAリビング」(3)
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(株)栄住産業
近年、地震や台風、豪雨など自然災害が増加し、防災意識が高まるなか、住宅のレジリエンス性(強靭性)がクローズアップされている。とくに屋根の防水技術に定評のある企業として注目されるのが、福岡に本社を構える(株)栄住産業である。1976年に鹿児島で創業以来、金属防水工法の販売を手がけ、2003年に木造用住宅の金属防水加工技術「スカイプロナード」を開発。この技術を使い、屋上を幅広く活用する「OSORAリビング」を提供している。「スカイプロムナード」は3月17日、災害に強い住宅・まちづくりに貢献する建材として高く評価され、「第6回ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)で最優秀賞を受賞した。「コロナにも暴風にも負けない」同社についての分析をお届けする。
屋根空間が第二の地上となる「OSORAリビング」
このスカイプロナードの技術によって展開されているのが、「OSORAリビング」。OSORAリビングは、木造住宅に一般的に施行される屋根ではなく、屋上を施工することで、それまで利用しても物置程度だった屋上をより幅広く活用できるようにしている。戸建住宅に屋上を設けることで、家庭菜園やバーベキューなど本来、庭の利用で可能となっていたことが屋上スペースでできるようになる。OSORAリビングは、同社会長・宇都正行氏の自宅から始まった。宇都氏の「心の癒しの場や子どもの心を育む場所として。また、この空間が多くの人に夢を与え、自然環境のあり方や快適な空間つくりを創造できる場所になってほしい」という願いから生まれた。スカイプロナードの技術は、宇都氏の願いを実現するために生まれた技術だ。
年々、土地の価格高騰にともない住宅購入費用も上昇している。さらに経済的事情も影響し、予算が少なければ小さく住まうという住宅の新発想から、1つの土地を2つの土地とする分筆なども増加している。購入する土地が狭くなれば、1台分の駐車スペースを確保するのが精一杯の戸建も都心部では珍しくない。また、都市開発が進むにつれ、公園などの空間は減少傾向にあり、こどもが安心して遊ぶスペースも減少した。同社は、「庭は屋上」という提案が都市型住宅だからこそ価値があるとし、06年の神奈川営業所開設を皮切りに、都心部での“屋根革命”に取り組み始めた。
OSORAリビングによって提供される空間は、都市部にありながら自然の心地よさを感じることができ、敷地制約が多く庭が取れない場合でも、工夫次第では緑あふれる住宅を実現する。また同社によると「分譲地モデルにすると、実際に快適さを感じ購入につながるという事例もあり、工務店の採用も少しずつ増え、機会も増えている」とのこと。そもそも屋上型住宅(水平屋根・陸屋根)は、コンクリート造、もしくは鉄骨造といった雨水の劣化に耐えうる強い構造が適していると思われがちで木造住宅では難しいとされてきた。構造上、水が溜まりやすい箱で受けるかたちとなるからだ。建築業界でも同様に水平屋根にすることは雨漏りにつながるのではないかとされていたが、OSORAリビングではスカイプロナードによる防水技術とともに、屋上斜面に緩やかな角度をつけることで自然に排水している。その安全性は、先述した雨漏れ被害ゼロの実績に裏付けられており、(特非)日本金属防水工業会による10年・30年保証の対象にもなっている。
このOSORAリビングは防水面の四方が1m以上の壁で囲まれていることで直接暴風が当たることを回避している。浮きあがらず風も入りこまない状況に変化がないことも高いレジリエンス性を維持し続ける要因となっている。
(つづく)
【麓 由哉】
<COMPANY INFORMATION>
代 表:代表取締役会長 宇都正行
取締役社長 宇都和光
所在地:福岡市東区原田-5-6
設 立:1976年2月
資本金:9,800万円
売上高:47億4,831万円(19/3期)関連記事
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