【コロナに負けない（9）】空港駐車場の売上急減で資金調達も回復時に備えて拡大戦略

　（株）ミスターは、福岡空港国内線そばで駐車場を経営する。福岡空港まで50mという好立地を生かしてリピーターを獲得。安定した実績を残してきた。昨夏には、需要が急拡大する国際線近郊に土地を確保し営業を開始。経験上、国際線の認知度が上昇するまで時間がかかるのは覚悟していたが、「急激な業容拡大はできないが、計算が立つビジネスモデル」（吉岡元太代表）と将来の成長に期待を寄せていた。

　こうしたなかで今回のコロナショックが発生。一時は8割減という未曽有の事態に陥った。即座に緊急融資制度を活用して一息ついたが、「従来の延長線上では、借入負担が増しただけ」（同）。あえて事業拡大を選択した。国内線と国際線近隣の各1駐車場を事業譲受。収容台数を1,200台とした。ランニングコストは拡大するが、事業環境が改善した際は、業績が3倍に拡大する準備を整えた。一方でリスク回避も併せて推進。別事業で手がけるコインパーキングの強化を進める。

　思わぬ助けとなっているのが、共同出資で展開していた飲食店だ。初期投資を抑制できることと撤退戦略を立てやすい守りの戦略だったが、予想外の反響により出店スピードを加速。3月の出店により8店舗となった。
　予断を許さぬ状況が続くが、攻めと守り、危機とチャンスを体験したことで、強い企業に生まれ変わると決意を固めている。