アメリカが敵視する中国、北朝鮮、イランが進めるデジタル通貨戦略(後編)
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2020年5月15日付の記事を紹介する。
いずれにせよ、こうした「リブラ」や「デジタル人民元」の動きに対し、世界各国の中央銀行でも独自のデジタル通貨発行に向けての研究や具体化が加速するようになってきた。2018年から国際決済銀行(BIS)が「中央銀行が発行する通貨」(CBCC)という概念を提唱したのが始まりであった。
日銀も例外ではなく、欧州中央銀行(ECB)、カナダ、イギリス、スウェーデン、スイス、BISとの共同でデジタル通貨に関する研究プロジェクトを立ち上げることを発表。アメリカでも中央銀行にあたる連邦準備制度(FRB)が2019年にはデジタル通貨のエンジニアを募集するなど、デジタル通貨に向けた研究を始めたようだ。その意味では、デジタル人民元もCBCCの1つといえるだろう。
ブロックチェーンは改ざんができにくいため、紙幣のような紙のデータベースより安全かつ使い勝手が良いというメリットがある。そのため、近い将来、多くの金融商品や契約方式がブロックチェーンに置き換わる可能性が高い。10年ほど前に大きな社会問題となった年金記録の喪失などは、皆で管理ができるブロックチェーン技術を導入すれば一気に解決できることになる。記録の管理、維持に関するコストも大幅に削減できるはずだ。デジタル化の恩恵を使わない手はないだろう。
実は、後進国の問題はインフレであり、紙幣を印刷してもたちまちインフレで使い物にならなくなってしまう。パン1枚を買うのにもトランクいっぱい分の紙幣を担いでこなくてはならないといった風景があちこちで見られる。そんな事情もあって、紙幣をやめてデジタル通貨への移行を目指している途上国は多いのである。
しかも、昨今のCOVID-19による感染症の蔓延から、紙幣や硬貨がウィルスの伝染につながるとの指摘もあり、一気にデジタル通貨への関心が高まってきた。中国政府はそうした流れも意識しているようで、デジタル人民元の世界的な普及を通じて感染症の予防にも役立つとのキャンペーンを展開しつつある。
パンデミックが収まらない状況下において、中国が「マスク外交」や「デジタル人民元」作戦を通じて国際的な影響力を拡大しつつあることへの懸念は大きくなる一方である。ムニューチン財務長官曰く「現状はアメリカの国家の存亡に係わる危機的状態だ。このような状況下において中国がデジタル通貨で世界を席巻しようとしている動きを看過することはできない」。
※続きは5月15日のメルマガ版「アメリカが敵視する中国、北朝鮮、イランが進めるデジタル通貨戦略(後編)」で。
著者:浜田和幸
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