コロナ危機の裏で深刻化する食糧問題と加熱する種子争奪戦争(前編)
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2020年5月22日付の記事を紹介する。
世界が新型コロナウイルスの猛威の前にたじたじとなっている。わが国でも、感染者や死亡者の数の増減に一喜一憂し、「いつになったらロックダウンが解除されるのか」、「このままでは戦後最悪の経済恐慌に陥ってしまう」、「三密回避は限界だ」、「日本人には抗体がありそうだが、治療薬はいつ完成するのか」といった議論が賑やかだ。
しかも、COVID-19と呼ばれるウイルスの発生源を巡って、アメリカと中国の間では相手を非難する「言葉のミサイル」が飛び交い、両国の最高指導者が「断交も辞さない」とか「軍事的対立もありうる」とまで言いあう有様で、あたかも「新冷戦」に突入したかのような緊張関係が高まっている。
そうしたコロナ危機騒動の裏側で、「パーフェクト・ストーム」と表現されるような「巨大な嵐」が吹き荒れ始めている。例えば、食糧危機である。国連の世界食糧機構の最新予測によれば、世界では発展途上国や難民キャンプなどで、これから一日平均30万人が飢餓によって命を失うという。COVID-19などの感染症とは比較にならないほどの死亡者数である。
それでなくとも、コロナウイルスの蔓延で農作物の収穫に支障が出始めており、生産地から市場に食材が届かない事態が各地で見られるようになっている。アメリカでは牛肉や豚肉が市場で品薄となり、スーパーマーケットでは販売制限が課せられる有様だ。マクドナルドやモスバーガーといったファーストフードのチェーン店でも牛肉が不足しているため、代用品で対応せざるを得なくなってきた。
生産されてはいるが、市場に届かない。あるいは、アフリカで猛威を振るっている豚コレラやサバクトビバッタの影響で家畜が絶滅したり、農作物が収穫できないような異常事態が発生している。地球温暖化や異常気象もこうした状況に輪をかけているようだ。
日本では、そこまでの食糧危機は感じられていないだろうが、カロリーベースで4割しか食糧自給率のない日本である。海外からのエネルギーや食糧に過度に依存している体制では、いつ食糧パニックに直面するか予断を許さない状況にあることは肝に銘じる必要があるだろう。
ところで、日本では全く報道されていないが、4月26日は「国際種子の日(International Seeds Day、略してISD)」である。世界的に異常気象や人口増加の流れが加速しており、食糧問題が深刻化するようになった。この食糧危機を克服する上で最も有効な手立てとして注目を集めているのが生産量が飛躍的に伸び、病害虫にも強く、少ない水でも収穫が期待できる遺伝子組換え(GM)種子である。こうした新しい種子への関心を高めようとして設立されたのが、この記念日に他ならない。4月22日は「地球の日(Earth Day)」として定着しているが、2004年から始まった「種子の日」はまだまだ認知度は低い。
※続きは5月22日のメルマガ版「コロナ危機の裏で深刻化する食糧問題と加熱する種子争奪戦争(前編)」で。
著者:浜田和幸
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