2024年12月26日( 木 )

無能な国家指導者たちは国を潰す 国民は座して死を待つのみか

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給付金の財源として「コロナ税」新設は必定

 読者の皆さん。まさかとは思いますが、新型コロナウイルス関連の給付金が振り込まれた通帳を見ながら、「1人10万円、夫婦で20万円、子ども2人分を加えて40万円か。臨時収入を得てバンザイだ!」と喜んでいるのではありませんか? 国家権力者は「国民に苦労を掛けているから、金銭的補助をしよう」というしおらしい気持ちで支給しているのではありませんよ。そんな気持ちは一欠片も持ち合わせていないことを認識してください。

 彼らに「自分の力でお金を稼ぐ」という能力は皆無です。従って、彼らが稼いだなかから支給しているのではありません。あたかも我が懐から出したがごとく、国民から収奪した税金で給付金を賄っているのです。権力者は税金を収奪することにかけては超一流の能力をもっています。ということはつまり、近いうちに必ず「コロナ税」をつくったうえで帳尻合わせをしてくるでしょう。単純に喜んでばかりいてはいけないのです。

安倍首相には理念も使命感も皆無。あるのは「私憤」

 理念も使命感も持ち合わせていない安倍首相にとって、自らを褒めたたえ、あるいは守ってくれる「おべっか使い」だけが数少ない仲間とみえる。河井克行元法務大臣、妻・案里参議員の選挙違反の背景には、安倍首相のこの独善的性格が災いしている。

 広島選挙区には古参議員・溝手顕正氏がいた。彼は安倍首相にたびたび苦言を呈し、その結果として首相の恨みを買う。この恨みを晴らすべく安倍首相は昨夏、参議院選挙(広島選挙区)において「定員2名を自民党で独占」の大義名分を立て、案里氏を自民党公認にしたのだ。

 露骨なのは、溝手陣営には公認料1,500万円を渡しただけなのに、案里氏側には10倍の1.5億円の選挙資金を渡したこと。大金を貰った河井夫婦は、「絶対に負けるわけにはいかない。莫大な資金は買収してでも当選しろという命令だ」と腹をくくり、大手を振って買収に走ったとみる。

 私憤をもつのは勝手であるが、この1.5億円とて安倍首相の私財から工面したのではなく、公金を使って私憤を晴らそうとしたのである。普通の人物なら国家権力を握れば自覚が芽生えて自我を抑制するものだが、この御仁はそういった節操をまったく持ち合わせがないとみえる。

人を見る目のない総理大臣

 黒川弘務検事長は安倍首相の為に動いてきた人物だ。いや、安倍首相にとって使い勝手の良い人物だったというべきか。検事長の定年は63才。利用価値のある黒川氏をどうしても検事総長の座に就かせたい。そこで、8月には現検事総長が交替するので、それまで黒川氏の定年を延長して検事総長に就かせると画策した。検察人事にまで私的動機で介入する傲慢さ、さらにそういった暴挙を止められない自民党幹部たちにも呆れかえる。

 周知の通り、黒川氏は悪癖の賭けマージャンに足をすくわれてその地位を失った。卓を一緒に囲んでいたマスコミとの癒着にも仰天したが、検事総長を目前にしていた人物が平然と違法行為を楽しんでいたという神経と脳天気さには、怒りさえおぼえた。黒川氏を査定するとするなら「平和ボケ」のひとことだが、こうした脇の甘い人物を検察庁最高ポストに据えようとする安倍首相の人物鑑定眼もそうとうピンボケということだろう。

安倍首相ブレーンのリスクヘッジ能力はゼロ

 いつものように安倍首相にすり寄り、耳元で囁く人物がいたのだろう。「首相! 再利用できる(布)マスクを国民に配れば喜ばれますよ!」と。愚かにも安倍首相は、「うむ。すばらしいアドバイスだ」と受け入れた。

 福岡市に配布が始まったのは5月12日からだったが、拙宅に届いたのは20日過ぎてから。「このマスク、はて何だったかな?」と妻に尋ねると、「アベノマスクよ」との回答。安倍政権にとっては国民からの批判を交わすとっておきの看板政策になるはずが、すでに笑いのネタになるだけでまったくありがたみのない布切れとなっていた。なぜなら、5月20日時点でマスクは市場に十分に出回っていたのだ。内閣のブレーンたちに庶民の実生活を想像し、寄り添おうとする生活感覚は皆無。とくに非常事態における知恵巡りに欠けており、加えてスピード感の欠如が露わになった。こうした「想定外」への弱さこそ、現代のエリートたちに共通するものだ。

公金概念の欠如した内閣に国防を任せるのは無理

 国家防衛のための予算が必要なことは自明である。ただし、民間並みに出費を厳しくチェックすることこそ肝要だ。今回、秋田・山口両県に配備される予定だった弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」配備計画が白紙撤回された。計画当初から、配備予定地の地形測量の杜撰さが指摘されていたが、ミサイルで切り離されるブースターが住宅地に落下する危険性があることも判明した。こうした欠陥システムに投入される予算は、メンテナンス代も含めて1兆円とみられていた。

 沖縄県では、宜野湾市にある米軍普天間飛行場の移設先として、名護市の辺野古海岸を埋め立てる工事が強行されている。ところが海底の地質検査が不十分なために工期が延びることになった。工事は2030年ごろまでかかる見通しとなり、予算総額も約2兆5,500億円と莫大なものになる。しかし、工事が終わるとされる2030年には、アメリカの軍事戦略が変わっていることは明白だ。米軍から「辺野古?ノーサンキューね」といわれる可能性すらある。始まってしまったら最後、止められないという日本政治の悪しき体質をいまこそ見直すべき時だ。

価値観の激変、社会防衛を自ら担う覚悟

 無能な国家指導者たちを批判するばかりでは本質的解決にはならない。経営者には、「あなたの企業経営は社会貢献しているのか」という命題が突きつけられるようになった。もはや「グローバル化」をすべて是とする幻想は抱くまい。国内市場の衰退を解決せぬまま、インバウンドという手軽な代替策にとびついたツケをいま、払わされているのだ。日本人がダメなら外国人に買わせる、という〈利益至上主義〉だけでは行き詰ることが目に見えている。

 さらに、安全保障とは軍事だけではない。「食」の安保はさらに重要で、食を自国で賄うための備えが必要だ。取材で紹介した介護士たちの使命感をもった仕事ぶりが見本である。1人ひとりが、それぞれの持ち場で社会防衛に尽力する覚悟が必要だ。さもなくば、座して死す道の選択肢しかなくなる。

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