【株主総会血風録1】大戸屋ホールディングス~買収を仕掛けたコロワイドが戦わずして“戦線放棄”の奇々怪々(4)
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定食チェーン「大戸屋ごはん処」を運営する(株)大戸屋ホールディングス(以下・大戸屋)が6月25日に都内で開いた定時株主総会で、筆頭株主の外食大手(株)コロワイドが提案していた取締役候補の議案が否決された。総会にはコロワイドは出席せず、株主提案の説明もなし。買収を仕掛けたコロワイドは”戦線放棄”したのだ。奇々怪々というほかはない。
焼き肉店「牛角」や「かっぱ寿司」を傘下にもつ外食大手の(株)コロワイドは7月9日、定食チェーンの(株)大戸屋ホールディングス(以下、大戸屋)を子会社化するため、株式公開買い付け(TOB)を発表した。大戸屋の株主総会で、取締役刷新を求めるコロワイドの株主提案を否決されたばかりだ。TOBは買収の鉄則である。それならば、始めからTOBをすればよかったのに、なぜ今頃になってTOBを仕掛けるのか。
4割のプレミアム付き破格の買収価格で、個人株主は買い付けに応じるとの読み
コロワイドは、1株3,081円で大戸屋株を買い付け、株式の保有比率を現在の19.1%から最大51.3%まで引き上げることを目指す。買い付け期間は7月10日から8月25日までで、取得総額は最大71億円だ。大戸屋株の8日の終値は1株2,113円のため、46%上乗せした価格だ。
子会社化した後も、上場は維持する。TOBが成立すれば、コロワイドは大戸屋の窪田健一社長ら今の経営陣を解任する方針を示した。
これに対し、大戸屋は「一方的かつ突然に行われたもので誠に遺憾だ」とコメントし、買い付けに反対する意向だ。経営方針をめぐる筆頭株主と経営陣との対立は、敵対的TOBに発展している。株主総会で敗れたコロワイドは、なぜ、TOBを仕掛けて、勝負に出たのか。その成否を握るのは、大戸屋の株式の約65%を握る個人投資家だ。2週間前に開催された大戸屋の株主総会では、個人投資家が現経営陣を支持して、コロワイドは撃退された。
その個人投資家たちがTOBによる買い付けに応じると踏んでいるため、コロワイドは攻勢に出ている。46%もの「プレミアム」を付けた破格な買い取り価格に応じて売却しなければ、その後、株価は大きく下がり、高値で売り抜けるチャンスを個人投資家はみすみす見逃してしまうからだ。100%に近い確率で、TOBは成立するだろうと読んでいる。
(つづく)
【森村 和男】
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