いつまでも住み慣れた地域で 歳を重ねても日常生活を維持できる福岡市に(後)
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福岡市議会議員・自民党市議団政調会長 調 崇史 氏
当選3期目で若いながらも自民党福岡市議団政調会長を務める調崇史市会議員。記者時代に「都市型限界集落」の取材に取り組んだ経験があり、高齢化が進むコミュニティの維持・活性化に若い力と自らの経験を活かしたいとの思いから政治家を志した。議会ではとくに郊外部の交通問題の改善に関心をもち取り組んでいる。高齢者が住み続けられるまちづくりについて、調氏に話を聞いた。
高齢者の交通をどうするか
――高齢者の交通はどうあるべきでしょうか。
調 昨年6月、早良区で高齢者が運転する自動車が交差点に突っ込む事故が発生、それを機に福岡市でも高齢者の運転免許返納が議論されるようになったものの、それでは生活の足をどうするのかという問題が生じます。
注目しているのは、アイランドシティで西鉄と港湾局が連携して実証実験を行っているオンデマンド交通です。タクシーとバスのハイブリッドのようなシステムであり、利用者はアプリを使って最寄りの停車場で乗車・下車できます。福岡市内で今後展開されるべき生活交通のサービスは、自宅の近くとバス停や駅など公共交通機関、買い物する場所、病院、公民館、小学校などを結ぶオンデマンド交通だと思っています。かつ民間の活力で採算が取れるモデルを確立しなければなりません。
このような社会事業に企業が手を挙げてくれるように、福岡市としても高齢者乗車券などサービス利用者への補助の適用を拡充するなど、早急に条件整理を進めるべきだと思っています。
コロナで高齢者間の情報格差が明白に
―新型コロナウイルスへの対応についてうかがいます。
調 飲食店へのテイクアウト支援や家賃補助など福岡市独自の支援策について、住民への周知・申請のお手伝いが必要だと考え、4~5月は街を歩き回りました。
今回、問題だと感じたのは情報格差です。商店街の個人商店のおじいちゃん、おばあちゃんが情報を受け取れていないか、自身が支援の対象であることを知らないか、あるいは自身で申請できずにあきらめているといった状態でした。国の持続化給付金の申請もネットで、福岡市でもネットが使えない人のために申請サポート窓口が4カ所設置されています。このように情報格差、デジタルディバイドを埋める経費として、多額の公金が投入されています。
デジタル技術に対応できるか否かの差が、10~100万円単位の行政支援を受けられたかどうかという明確な金額で現れました。この格差を埋める努力は公平・公正を旨とする行政の責任において早急に取り組むべき課題だと思います。
――最後に読者へのメッセージをお願いします。
調 「人を喜ばせることをしたい」というのが自身の原点であり、そこから発想の転換を経て政治家を目指しました。政治家は皆さんにとって、困ったことがある時しか必要のない存在かもしれませんが、多くの人が困っている今こそ大いに頑張り、歩き回らないといけないと思っています。市政の改善につなげるため、ご相談をいただければと思っています。最近、政治の世界は、市政も県政も国政も、「強いものに巻かれる」傾向が顕著だと感じます。しかし、政治は自由にモノをいえることが大事です。私はこれまで、必要なときには論争を避けず、むしろ活発な議論の中心に自ら身を置いてきました。今後もこのスタンスはしっかり維持していきたいと思います。
(了)
【茅野 雅弘】
<プロフィール>
調 崇史(しらべ・たかし)
1978年福岡市生まれ。2002年に九州大学を卒業後、テレビ西日本に入社。10年に同社を退社し、元福岡市長秘書に。11年に福岡市議会議員初当選(城南区、現在3期目)、19年に自民党市議団政調会長に就任した。
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