2024年11月22日( 金 )

探究心と行動力こそがイノベーションの源泉

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

(株)リファレンス 代表取締役社長 相部 光伸 氏

 「自分たちが本当に住みたい部屋とその環境をつくる」――。ポリシーとして掲げられたこの言葉を、福岡を拠点に九州、加えて現在では東京でも実践している(株)リファレンス。活動範囲だけでなく、その事業内容も多岐に渡る。不動産賃貸、コインパーキングにリノベーション事業など、同社はまさに不動産のトータルプランナーである。そんな同社代表取締役社長の相部光伸氏に話を聞いた。

『貸す』という事業にこだわり抜く

 相部代表が現在の事業基盤を確立するまでには、実に多くの出会いがあった。
 「私が最初に不動産と関わり合いを持ったのは、平成4年、親しい友人に遊休地の相談を持ちかけたことがきっかけでした。彼は共同住宅を勧めてくれたのですが、実はこのときアドバイスに従って建てたのが、現在の「リファレンス企救丘」なんです。彼は私よりも年下ですが、共同住宅に関しては師匠とも呼べる存在です。同友会(一般社団法人福岡県中小企業家同友会)北九州地区でも一緒で、もう30年以上の付き合いになります」(相部代表)。

 良き友人との関わり合いのなかで、不動産への興味を抱くことになった相部代表。しかし、すぐさま不動産事業をスタートさせたわけではない。相部代表は当時、九電の電柱広告を事業主として行っていたからだ。

(株)リファレンス 代表取締役社長 相部 光伸 氏

(株)リファレンス 相部 光伸 代表取締役社長

 「そんなとき、親交のあった経営コンサルタントの一倉先生から、こんなことを言われたんです。『同じ事業は30年続かない』、そして『まずは事業を定義づけなさい』と。この言葉を受け、私は電柱広告について真剣に考えました。事業規模については、電柱広告はどれほど注力しようと、電柱の数以上には売れません。道路規制の問題もありますので、電柱の数を増やすことも難しい。次に考えたのは、電柱広告とはどんな事業なのかということ。これは、誰が最も収益を生み出しているのかということを考えるとわかります。答えは無論、九電です。九電は電柱を提供する側、すなわち『貸している』側なのですから当然です。そこで私は、『貸す』というビジネスに着目しました」(相部代表)。

 自身のビジネス人生に、一本の筋道をつけた相部代表。資本そのものを貸し出す金融事業。電波を貸し出す携帯販売事業と、さまざまな事業を展開。『貸す』を基軸に、相部代表は経営者として着実に経験を積み重ねていった。そして、平成バブルの崩壊が、いよいよ相部代表に本格的な不動産事業への参入を決意させる。

 「土地の価格が一気に落ち、資産保有が一時期に比べ容易になったのです。銀行員の方が、土地売買の話をよく持ちかけてきました。そこで私は土地の購入を決断、コインパーキング・ビル建築をスタートさせました」(相部代表)。

快適な空間・時間を貸す

 コインパーキング・貸会議室を皮切りに、不動産事業をスタートさせた相部代表。衰えを知らないその行動力・探究心は、同社の貸会議室事業を唯一無二のものへと洗練させていく。

2015年11月19日オープン、リファレンスはかた近代ビル貸会議室

2015年11月19日オープン
リファレンスはかた近代ビル貸会議室

 「自分で市場リサーチをしてわかったのですが、リーマン・ショック後、東京・大阪に本社を構える企業が、一斉に事務所規模の縮小に動き出しました。それまで100~200坪の規模だったものが、約10分の1の規模にまで縮小しました。さらに調べてみると、会議室はどこもアウトソーシングしていることがわかりました。当然、この動きは本社のみならず、その支店でも見られました。そして九州に支店を置く場合、多くの企業が福岡・博多エリアを拠点とします。近年は博多エリアの地価も上昇基調にありますが、天神エリアに比べれば駐車場料金も含めて、まだまだ進出しやすい状況にあります。だから私は、博多エリアに貸会議室用のビルを集中させました。もちろんニーズがあるということだけに頼っていてはいけませんから、他社との差別化を図るために徹底したことがあります。それが椅子と机を豪華にすること。インターネット環境を整えること。ホテルよりリーズナブルで、通常の会議室より高級に。これらの徹底により、会議室としてはもちろん、セミナー会場として、珍しいところでは学校の入試試験会場としてもご利用いただいております。また、貸会議室は1時間から利用可能にすることで料金体系を明確化し、長時間利用による割引率をUPさせました。コーヒーも20杯までは無料というサービスを行っております。20杯という数字は、弊社会議室をご利用されるお客さまの平均人数から設定させていただいたものです」(相部代表)。

 ジャンルにとらわれることなく、幅広い層に最高の空間・時間を提供し続ける同社。相部代表は最後にこう語った。
 「よく、社員に『社長には社員の気持ちがわからないんですか?』と言われるんですが、私は社会に出た時からずっと経営者ですから、正直に『わからん』と答えているんです。けれど、今のリファレンスがあるのは社員たちのおかげであり、これまでさまざまなかたちで力を貸してくれた人たちのおかげです。私は、本当に人との出会いに恵まれていると思います」(相部代表)。

 現在、同社管理物件は4,500戸、自社物件は2,800戸以上にのぼる。今年11月25日には東京新宿に進出し、12月18日には有楽町にも進出する予定だ。今後も池袋・品川など、JR中央線沿いに進出予定だ。単なる空間提供にとどまらない、リファレンスのホスピタリティ精神溢れるサービスが、業界のスタンダードとなる日も近い。

(了)

<COMPANY INFORMATION>
(株)リファレンス
代 表:相部 光伸
所在地:福岡市博多区博多駅東1-16-14 リファレンス駅東ビル7階
設 立:1996年2月
資本金:4億円
TEL:092-432-0039
URL:http://www.11heya.co.jp/

 

関連記事