2024年11月24日( 日 )

カジノ×ゲーム×オンラインで新市場の形成目指す、中村龍道氏の挑戦(1)

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 カジノと聞くと「ギャンブル」のイメージが先行するが、それはあくまで利用者側の視点。運営者側から見れば、一口にカジノと言っても、「総合金融サービス業」などさまざまな事業領域を兼ね備えたハードとしての魅力がある。しかし、施設内で提供されるサービスである限り、使用できる空間には限度がある。「国境を越え、世界中の人々に娯楽を」。この思いのもと、中村龍道氏が目指したのがカジノ×ゲーム×オンラインだった。

(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)

コロナ禍で変わる世界

 ――新型コロナウイルス(以下、コロナ)の感染拡大が世界に与えた影響について、所感をお聞かせください。

中村 龍道 氏

 中村 国や人種の分け隔てなく、コロナの下、万民が同じスタートラインに立たされました。ビジネスにおいても「アフターコロナ」を見据えた働き方や、需要と供給を意識しなければなりません。これまでデジタルと縁遠かった人も、デジタル社会への参入が不可避となるでしょう。

 私個人としては、コロナ禍は「5Kプロジェクト」の重要性を再認識する機会になりました。5Kプロジェクトとは、共存、共栄、共生、共益、共感を行動指針とする理念で、10年程前から提唱しています。ともに稼ぎ、誰もが社会貢献できるだけの余裕をもてる社会の実現にはデジタルサービスの浸透が不可欠であり、コロナ禍はその土壌を形成したと考えています。

 ――モノ・コトの在り様が、世界規模で変化していくきっかけになりました。

 中村 私自身、コロナのような世界的大惨事が起こるなど、想像もしていませんでした。
 日本は自然災害を除けば、比較的平穏無事に暮らせる国だったため、価値観が一変したという現実にまだ認識が追いついていない人も少なくないでしょう。

 コロナが生み出した非接触という前提は、世代間の断絶をより加速させるに違いありません。たとえば、デジタルネイティブと呼ばれる若い世代は、デジタルと現実の世界が地続きで、遊びから仕事までをオンラインで完結します。古い世代にとっては、「何でもありの世界」を見せつけられている感覚に陥るかもしれません。無論、デジタル社会を手放しで歓迎するわけではありません。社会を構成するのはやはり人ですので、基本となる道徳教育は必須です。

 デジタル先進国の中国を生きる親たちの子どもに対する教育方法を見ていて、道徳性をどう育んでいくのかという点は、個人的に非常に気になりました。しつけに関しても同じですね。

 また、コロナ禍で命をとるのか、経済をとるのか、ということが議論になりました。日本でも政府がデジタル庁の発足を明言しましたが、オンラインビジネスの普及やそのために必要なインフラの整備は、1つの答えといえるでしょう。
 ただ、最優先されるのは命であることは、デジタル社会でも変わりません。そのことを後世に伝えるためにも、今回のコロナ禍の記録や、世界平和のために戦争時の映像資料は残していかなければなりません。そうした資料の記録媒体として、デジタルは役に立ちます。

(つづく)

【文・構成 特別取材班】


<プロフィール>
中村 龍道
(なかむら・りゅうどう)
 1969年6月生まれ、鹿児島県出身。95年、大手土木・建築資材販売・レンタル企業で経験を積んだ後、起業。地元鹿児島を拠点に飲む温泉水の販売、温泉水を使用した基礎化粧品の販売を展開し、成功をおさめる。その後、2004年に中国に渡り、当時としては珍しい日本人向けのナイトクラブを4店舗運営。現地で評判になると同時に、その経営手腕が高く評価され、06年、中華人民共和国・趙紫陽(ちょう しよう)元総理の実子、趙衛國氏らの協力を得てマカオ特別行政区で事業を開始する。
 以降、マカオを中心に北京、大連などで精力的に事業を展開。地元鹿児島産の製品やサービスの中国市場での定番化にも尽力した。10年代に入ると米国・ラスベガス市場に参入。ZANN CORPORATIONを買収し、カジノ総合事業を中心としたリゾートプロジェクトやインドネシア、香港、マカオ、中国、台湾などの企業と共同で多岐にわたる事業をスタート。香港、シンガポールでクルーズ事業ZANN CASINOクルーズをグランドオープンさせると、業種の垣根を越え、アパレル、不動産開発などで数々の実績を残す。
 現在もマカオ、アジアを中心に、地域振興による世界平和と繁栄を目的として、清濁併せ呑む覚悟をもって活動している。
 ZANN CORPORATION Chairman、中華人民共和国陝西省韓城人民政府顧問。

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