カジノ×ゲーム×オンラインで新市場の形成目指す、中村龍道氏の挑戦(4)
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カジノと聞くと「ギャンブル」のイメージが先行するが、それはあくまで利用者側の視点。運営者側から見れば、一口にカジノと言っても、「総合金融サービス業」などさまざまな事業領域を兼ね備えたハードとしての魅力がある。しかし、施設内で提供されるサービスである限り、使用できる空間には限度がある。「国境を越え、世界中の人々に娯楽を」。この思いのもと、中村龍道氏が目指したのがカジノ×ゲーム×オンラインだった。
(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)
中国での経験が契機に(つづき)
――カルチャーショックがデジタル社会への興味関心を生み、良き出会いがビジネスへの意欲をかきたてたのですね。
中村 はい。中国ではとくに人脈が最後に物を言います。中国は人に対して信用があり、日本は名刺に記載されている社名や役職に信用があるといった印象です。日本は仕事を辞めたらただの人が多いのに対して、中国は個人で生き抜く術を持つ人が多い。だからチャンスがある。一歯車で終わるのではなく、歯車を回す方にいないといけない。中国で過ごした十余年は、そのことをよく学ばせてもらった貴重な時間です。日本にいては経験できないことを、経験させてもらえたと思っています。
――中国で培った人脈は今でも生きていますか。
中村 はい。力になれることがあれば、ビジネスとして双方で協力を惜しまない関係性にあります。こうした人脈形成もそうですが、中国では戦略面でも学びがありました。たとえば現地のマスコミが報じるニュースやオンラインでの映像配信。世界に対して中国はあえて後進国であるという認識をもってもらうため、自転車が走っている映像ばかり流していました。当時中国にいた私からすれば、そのころにはもう自転車は主要交通手段ではありませんでした。後進国と見せかけ、世界を油断させて、実は裏で発展しているというこのやり方は、上手だなと思いましたね。私自身、バカだの詐欺師だのと言われてきましたが、水面下では「デジタルウォレット」や「次世代型ワールドオンラインゲーム市場」の計画を進めていました。平気でいられたのは、このときの中国での経験があったからです。
中国ではほかにも、「100%をつくるな」と言われたことが頭に残っています。100%をつくってしまうと次に続かないが、95%なら残り5%の仕事が見込めるというのです。中国製品はよく壊れますが(笑)、壊れて当たり前という認識が共有されていれば、修理を依頼するといったように、たしかに次のビジネスにつながる。クレームになりにくいのです。国際競争が激化するなか、最近は100%を目指しているようですが・・・。
(つづく)
【文・構成:特別取材班】
<プロフィール>
中村 龍道(なかむら・りゅうどう)
1969年6月生まれ、鹿児島県出身。95年、大手土木・建築資材販売・レンタル企業で経験を積んだ後、起業。地元鹿児島を拠点に飲む温泉水の販売、温泉水を使用した基礎化粧品の販売を展開し、成功をおさめる。その後、2004年に中国に渡り、当時としては珍しい日本人向けのナイトクラブを4店舗運営。現地で評判になると同時に、その経営手腕が高く評価され、06年、中華人民共和国・趙紫陽(ちょう しよう)元総理の実子、趙衛國氏らの協力を得てマカオ特別行政区で事業を開始する。
以降、マカオを中心に北京、大連などで精力的に事業を展開。地元鹿児島産の製品やサービスの中国市場での定番化にも尽力した。10年代に入ると米国・ラスベガス市場に参入。ZANN CORPORATIONを買収し、カジノ総合事業を中心としたリゾートプロジェクトやインドネシア、香港、マカオ、中国、台湾などの企業と共同で多岐にわたる事業をスタート。香港、シンガポールでクルーズ事業ZANN CASINOクルーズをグランドオープンさせると、業種の垣根を越え、アパレル、不動産開発などで数々の実績を残す。
現在もマカオ、アジアを中心に、地域振興による世界平和と繁栄を目的として、清濁併せ呑む覚悟をもって活動している。
ZANN CORPORATION Chairman、中華人民共和国陝西省韓城人民政府顧問。法人名
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