2024年11月14日( 木 )

カジノ×ゲーム×オンラインで新市場の形成目指す、中村龍道氏の挑戦(5)

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 カジノと聞くと「ギャンブル」のイメージが先行するが、それはあくまで利用者側の視点。運営者側から見れば、一口にカジノと言っても、「総合金融サービス業」などさまざまな事業領域を兼ね備えたハードとしての魅力がある。しかし、施設内で提供されるサービスである限り、使用できる空間には限度がある。「国境を越え、世界中の人々に娯楽を」。この思いのもと、中村龍道氏が目指したのがカジノ×ゲーム×オンラインだった。

(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)

カジノゲーミングとの出会い

 ――世界を舞台にビジネス人生を歩まれてきた中村氏とカジノとの出会いは、何がきっかけだったのですか。

 中村 日本、中国などアジア圏をめぐり、経験を積むなかで、渡米することになりました。アメリカでの経験が、お金がお金を生む仕組みへの挑戦へとつながります。

 アメリカやヨーロッパなどの金融先進国では、紙切れ1枚で何十億円、何百億円の決済が簡単にまとまる。日本で同等規模の資金を動かそうと考えると、担保をどうするのか、連帯保証人は誰なのかなど、相応の時間と手間がかかる。欧米は紙切れ1枚と、事業に対する可能性で動く世界。身をもってそのことを学んだ時、何て単純で簡素で、すばらしい仕組みなのだと感じました。そこから、ファイナンスやデジタルの世界にのめり込んでいったのです。

 今から10年以上前のことでしたが、カジノの世界もこのときに知りました。マカオのカジノ運営に関わる機会があったからです。今思えば、オンラインゲームも、アメリカでの経験が始まりだと感じています。マカオのカジノ運営に関わることで、パチンコ業界に身を置く先輩((株)コモンウェルス・エンターテインメント、略称:CWE)から、パチンコ最大手メーカー(S社)とマカオのカジノ監理当局の上層部とを繋いでほしいという依頼を受けました。これに応えようと奔走し、場を設けることができました。

中村 龍道 氏

 パチンコメーカー側の要求としては、日本のパチスロをマカオのカジノに入れたいというものでした。話はまとまる方向で進んでいきましたが、世界のカジノに課された規制は日本の(一財)保安通信協会の規制とはまったくレベルが違います。これをクリアしないと、カジノへの導入はできません。メーカーは規制内容の記載された書類(GLI)を持ち帰り、あとは規制に適合した台を開発するだけだったのですが、約半年後、メーカーは開発を断念しました。

 当時はまだ日本国内でカジノ用のスロットマシーンを開発しているところはなかったため、厳しいだろうなとは考えていましたが、理由は何れにせよパチンコ業界最大手のメーカーでも無理だったという事実には驚きました。すると、今度はマカオのカジノ監理当局との話をなかったことにしてくれないかという依頼がありました。

 私もこのままだとマカオ側に対して顔が立たないので、話を通しにいきましたが、日本のパチンコ業界、とくにメーカー内では話をまとめられなかった悪役としての評判がついてしまいました。先輩やメーカー側は、今回の開発を断念する代わりに当初は私の今後の活動に関して、サポートするという話でしたが、それもなくなってしまうどころか、私を「詐欺師」扱いしました。以降、詐欺師だという噂話が広まり、つらい時期が続きました。もちろん、当時の証拠書類、写真、動画などすべてもっています。

(つづく)

【文・構成:特別取材班】


<プロフィール>
中村 龍道
(なかむら・りゅうどう)
 1969年6月生まれ、鹿児島県出身。95年、大手土木・建築資材販売・レンタル企業で経験を積んだ後、起業。地元鹿児島を拠点に飲む温泉水の販売、温泉水を使用した基礎化粧品の販売を展開し、成功をおさめる。その後、2004年に中国に渡り、当時としては珍しい日本人向けのナイトクラブを4店舗運営。現地で評判になると同時に、その経営手腕が高く評価され、06年、中華人民共和国・趙紫陽(ちょう しよう)元総理の実子、趙衛國氏らの協力を得てマカオ特別行政区で事業を開始する。
 以降、マカオを中心に北京、大連などで精力的に事業を展開。地元鹿児島産の製品やサービスの中国市場での定番化にも尽力した。10年代に入ると米国・ラスベガス市場に参入。ZANN CORPORATIONを買収し、カジノ総合事業を中心としたリゾートプロジェクトやインドネシア、香港、マカオ、中国、台湾などの企業と共同で多岐にわたる事業をスタート。香港、シンガポールでクルーズ事業ZANN CASINOクルーズをグランドオープンさせると、業種の垣根を越え、アパレル、不動産開発などで数々の実績を残す。
 現在もマカオ、アジアを中心に、地域振興による世界平和と繁栄を目的として、清濁併せ呑む覚悟をもって活動している。
 ZANN CORPORATION Chairman、中華人民共和国陝西省韓城人民政府顧問。

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