カジノ×ゲーム×オンラインで新市場の形成目指す、中村龍道氏の挑戦(6)
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カジノと聞くと「ギャンブル」のイメージが先行するが、それはあくまで利用者側の視点。運営者側から見れば、一口にカジノと言っても、「総合金融サービス業」などさまざまな事業領域を兼ね備えたハードとしての魅力がある。しかし、施設内で提供されるサービスである限り、使用できる空間には限度がある。「国境を越え、世界中の人々に娯楽を」。この思いのもと、中村龍道氏が目指したのがカジノ×ゲーム×オンラインだった。
(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)
カジノゲーミングとの出会い(つづき)
――もう止めようという気持ちにはなりませんでしたか。
中村 実はその後、カジノマシーンの開発、販売をビジネスにしているパートナーが現れたことで、私はカジノの世界から離れるどころか、本格的にカジノの世界に入っていくことになるのです。パートナーと一緒に挑戦を続けるなかで、マカオでカジノの規制を突破。カジノ市場に共同メーカーとして参入し、競馬マシーンを設置させてもらえるようになりました。
通常カジノ側は、一定水準以上の売上を見込めない機械は置いておく意味がないため、3カ月~半年のテスト期間を設けます。このテスト期間に売上目標を達成できないとマシーンは撤去されます。カジノマシーン1台をつくるために、数十億円の開発費や約3年以上の開発期間を費やします。持ち帰りとなれば、これがすべて無駄になってしまいます。
カジノの世界はとてもシビアな世界なのです。幸運にも、パートナーと開発、販売した競馬マシーンは高評価を獲得でき、引き合いも多かったのですが、マシーンは一度売ってしまえばそれで終わりです。メーカー側は、数千台販売できて初めて利益が出ます。数千台未満だと、あまり商売にならないのです。こうした状況のなかで、売って終わりの商売が嫌になり、私がカジノ側に提案したのが販売したマシーンで得た売上のシェアです。この条件をのめるカジノに売るということにしました。
当時、売上のシェアといっても、折半ではなく、こちらとしては3:7でもいいと交渉しましたが、話は平行線をたどり、結局まとまりませんでした。私に後悔はありません。目指したのは、1つの事例をつくりあげることで、メーカーが販売以外で利益を得られる仕組みをつくることでしたから。日本国内だけを見ればカジノマシーンを開発、販売しているメーカーはまだ少ない。けれど、世界に目を向ければ、メーカーはひしめきあっています。そのなかで勝ち続けるのは至難の業です。
(つづく)
【文・構成:特別取材班】
<プロフィール>
中村 龍道(なかむら・りゅうどう)
1969年6月生まれ、鹿児島県出身。95年、大手土木・建築資材販売・レンタル企業で経験を積んだ後、起業。地元鹿児島を拠点に飲む温泉水の販売、温泉水を使用した基礎化粧品の販売を展開し、成功をおさめる。その後、2004年に中国に渡り、当時としては珍しい日本人向けのナイトクラブを4店舗運営。現地で評判になると同時に、その経営手腕が高く評価され、06年、中華人民共和国・趙紫陽(ちょう しよう)元総理の実子、趙衛國氏らの協力を得てマカオ特別行政区で事業を開始する。
以降、マカオを中心に北京、大連などで精力的に事業を展開。地元鹿児島産の製品やサービスの中国市場での定番化にも尽力した。10年代に入ると米国・ラスベガス市場に参入。ZANN CORPORATIONを買収し、カジノ総合事業を中心としたリゾートプロジェクトやインドネシア、香港、マカオ、中国、台湾などの企業と共同で多岐にわたる事業をスタート。香港、シンガポールでクルーズ事業ZANN CASINOクルーズをグランドオープンさせると、業種の垣根を越え、アパレル、不動産開発などで数々の実績を残す。
現在もマカオ、アジアを中心に、地域振興による世界平和と繁栄を目的として、清濁併せ呑む覚悟をもって活動している。
ZANN CORPORATION Chairman、中華人民共和国陝西省韓城人民政府顧問。法人名
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