2024年11月21日( 木 )

カジノ×ゲーム×オンラインで新市場の形成目指す、中村龍道氏の挑戦(9)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

 カジノと聞くと「ギャンブル」のイメージが先行するが、それはあくまで利用者側の視点。運営者側から見れば、一口にカジノと言っても、「総合金融サービス業」などさまざまな事業領域を兼ね備えたハードとしての魅力がある。しかし、施設内で提供されるサービスである限り、使用できる空間には限度がある。「国境を越え、世界中の人々に娯楽を」。この思いのもと、中村龍道氏が目指したのがカジノ×ゲーム×オンラインだった。

(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)

カジノ×オンラインの実現に向けて(つづき)

――カジノが稼げるビジネスとしたうえで、中村氏が選んだのがオンラインでの娯楽提供でした。

中村 龍道 氏

 中村 リアルカジノとオンラインカジノがあるなか、私たちはそのどちらでもない、ゲームの世界から参入することにしました。それが、「次世代型ワールドオンラインゲーム市場」です。そして、ゲームをプレイするために必要となる決済用COIN(暗号資産)を取り扱うのが、「デジタルウォレット」です。「デジタルウォレット」は、世界20カ国以上の法定通貨を介して、世界44カ国以上の現地銀行を経由し、24時間365日体制(英語・中国語・日本語に対応)でサービス展開しています。このデジタルウォレットは海外決済システムのため、ライセンスはすべて海外にあります。運営に関わる法人もすべて海外です。

 たとえば、決済用COINの交換(エクスチェンジ)のライセンスはジョージア国で取得しています。各国に信頼できるパートナーを置き、最高峰のセキュリティを使ってサービス提供します。このデジタルウォレットを介することで、(1)暗号資産⇒法定通貨をはじめ、(2)暗号資産⇒暗号資産、(3)法定通貨⇒暗号資産、(4)法定通貨⇒法定通貨への交換が可能となります。

 デジタルウォレット=海外口座であると考えていただけるとわかりやすいかと考えています。日本で海外口座を開こうとしたら、現地に行かなければならず、大変な労力がかかります。国内情勢によっては無理な場合もあります。このデジタルウォレットは、その手間を省くことができます。日本での決済はまだ先になりますが、暗号資産を金額制限なく使用でき、ドル、香港ドル、ユーロ、円など法定通貨との交換も可能です。

 もともとは、海外からの出稼ぎ労働者が収入を母国に送金するのが困難であることを解決し、ハイローラーと呼ばれる多額の金額を賭ける人が現金の持ち運び時に感じる不便さを解消したいとの思いから始まったのがデジタルウォレットです。また、暗号資産が流行したことで、暗号資産で遊べないかとの声が挙がっていました。しかし、暗号資産は価格変動が激しいのでキャッシュを基本としている遊技には合いません。それでも暗号資産長者が世界中にいることはたしかであるため、そういった人々に暗号資産を使う場所を提供できないかと常々考えていました。

 そこで考えだしたのが、暗号資産を法定通貨にいったん交換することで手軽に遊べるようにする仕組みであり、遊び場となる遊技空間の提供でした。デジタルウォレットを介して、ゲームプレイ専用COINに交換していただきます。すでに暗号資産としての登録は終わっています。デジタルウォレットはあくまで決済手段であり、デジタルウォレットという企画のなかでのみ流通するゲーム専用COIN()と考えてください。暗号資産として上場していないため、市場では交換することはできません。デジタルウォレット内でしか交換できない。このことにより、価格変動を抑え、USドルとの連動を可能としているのです。

 法定通貨、暗号資産をデジタルウォレット内でゲーム専用COINと交換し、ゲームをプレイする際のCOINとして使用してもらいます。

(つづく)

【文・構成:特別取材班】

※:1COIN=1USドルとして法定通貨USドルと連動。安定したゲーム決済用COINとして世界のオンラインゲーム業界への流通を目指す。 ^


<プロフィール>
中村 龍道
(なかむら・りゅうどう)
 1969年6月生まれ、鹿児島県出身。95年、大手土木・建築資材販売・レンタル企業で経験を積んだ後、起業。地元鹿児島を拠点に飲む温泉水の販売、温泉水を使用した基礎化粧品の販売を展開し、成功をおさめる。その後、2004年に中国に渡り、当時としては珍しい日本人向けのナイトクラブを4店舗運営。現地で評判になると同時に、その経営手腕が高く評価され、06年、中華人民共和国・趙紫陽(ちょう しよう)元総理の実子、趙衛國氏らの協力を得てマカオ特別行政区で事業を開始する。
 以降、マカオを中心に北京、大連などで精力的に事業を展開。地元鹿児島産の製品やサービスの中国市場での定番化にも尽力した。10年代に入ると米国・ラスベガス市場に参入。ZANN CORPORATIONを買収し、カジノ総合事業を中心としたリゾートプロジェクトやインドネシア、香港、マカオ、中国、台湾などの企業と共同で多岐にわたる事業をスタート。香港、シンガポールでクルーズ事業ZANN CASINOクルーズをグランドオープンさせると、業種の垣根を越え、アパレル、不動産開発などで数々の実績を残す。
 現在もマカオ、アジアを中心に、地域振興による世界平和と繁栄を目的として、清濁併せ呑む覚悟をもって活動している。
 ZANN CORPORATION Chairman、中華人民共和国陝西省韓城人民政府顧問。

(8)
(10)

関連キーワード

関連記事