手に入れた夢の翼で、どこまでも飛んでいく~藤木フレイムキア(前)
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「もっと夢をもってほしい」――大人がよくいう月並みな言葉に聞こえるかもしれないが、こう口に出したのは2000年生まれの青年、藤木フレイムキア。18歳で単身カナダに旅立ち、現地で働きながら19歳でパイロットのライセンスを手にした若者だ。
――18歳で車の免許を取る、というのはよくある話ですが、飛行機の免許を取る人はなかなかいないですよね。どのような飛行機を操縦できるのですか。
藤木 今持っているライセンスは、単発の小型プロペラ機を操縦できるPPL(カナダ自家用操縦士免許:Private Pilot License)です。日本の自家用操縦士免許に書き換えることもできるため、日本国内でも飛行機を操縦することができます。
PPLは自家用飛行機の操縦のためのライセンスであるため、仕事として飛行機を操縦するためには、別のライセンスであるCPL-Commercial Pilot License(事業用操縦士免許)、ATPL-Airline Transport Pilot License(定期運送用操縦士免許)が必要です。
――パイロットの道を志したきっかけを教えてください。
藤木 子どものころ、家族でオーストラリアに住んでいました。祖母の家がある日本に帰省するときに乗っていた飛行機にあこがれたことがパイロットの道を志したきっかけです。
最初は日本でパイロットの資格を取ろうと考えたのですが、調べてみると日本では2,000万円くらいかかることがわかり、知人がいたカナダでライセンスを取ることにしました。カナダでは、ライセンス取得のための費用は100万円ほどで済みました。
――カナダではアルバイトもしていたということですが、どのような仕事でしたか。
藤木 カナダの北部にあるオーロラで有名なイエローナイフという場所で、冬のあいだツアーガイドをしていました。犬ぞりやスノーモービルで、観光客を案内するのです。食事はいつもサーモン。先住民族の人々の漁法で、湖に張った厚い氷に穴をあけて網を仕掛けて獲るのですよ。
――ロマンがあっていいですね!ライセンスの取得には、苦労はありましたか。
藤木 教習のフライト時間は、最短でも45時間、通常は90時間くらいかかるといわれていますが、私は60時間でOKをもらうことができました。教官の同乗なしで初めてソロフライト(単独飛行)したときは感動しましたね。パイロットなら、誰でも最初のソロフライトのことは忘れられない、と聞いていましたが、本当にそうでした。
ペーパーテストもあります。予想外のハプニングがありまして、テスト用のパソコンをマネージャーがセットアップしてくれた途端に、空港に爆破予告があったという緊急放送が流れたのです。
そのままマネージャーはいなくなってしまい、私はこのままテストを受けていていいのかなと感じながら、試験を受けました。試験には、航空法・航法・航空気象・航空一般知識の4科目があり、1つでも正答率が60%を下回ると再試験が必要となりますが、私の場合は航空気象が75%で、残りの科目は60%とギリギリでした。
――爆破予告がなければ、もう少しいい点だったかもしれませんね。訓練はどこで行っていたのですか。
藤木 カナダ西部のバンクーバー島にある、ビクトリア国際空港です。アメリカのシアトルのすぐ北側ですね。
――国際空港は発着する飛行機も多く、大変だったのではないでしょうか。
藤木 そうですね、他のフライトスクールではできない経験を積むこともできました。ソロフライトで着陸するときに、私が管制官の指示を聞き間違えて、着陸しようとする旅客機の前に割り込むかたちになってしまったことがありました。危ないところだったと反省しています。
(つづく)
【深水 央】
藤木 フレイム キア
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