最近の日本出張で日本の防疫体制について感じたこと(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
日本の取引先と緊急に打ち合わせをする必要に迫られ、筆者は数カ月ぶりに韓国から日本に出張した。日本への出張は、日本と韓国の両国の防疫体制を比較できる良い機会となった。筆者の体験を紹介する。
韓国では、「日本では患者数が少なくなっているが、あまりPCR検査を実施していないため、実際は新型コロナウイルスにかかっているにもかかわらずカウントされていない人が多く、日本へ行くのは危ない」と認識されている。それで家族も最初は日本への出張には反対であった。しかし、今回はとても大事な案件であり、筆者がいなければ言葉の問題があって話がうまく進まないことを家族も良く承知していたため、何とか出張を了承してくれた。
いわゆる「ビジネストラック」という渡航制度を利用すれば、日本への渡航後の2週間の隔離が不要となる。この制度の利用には事前に各種の書類を用意する必要がある。その書類一式のなかには、PCR検査結果の陰性証明書、行動計画書、身元保証書などが入っていた。
最初は、韓国の空港でPCR検査が行われるのかと考えていたが、PCR検査で結果が出るまで6時間くらいかかることを思い出し、自宅の近くの江南保健所にPCR検査を受けるために出向いた。日本への出張のために検査を受けると担当者に告げ、用紙に必要事項を記入して提出したところ、検査キットが入っている円筒を手渡された。
検査スペースにいくと、保健所のスタッフは円筒から検査キットを取り出し、喉の奥と鼻の奥に綿棒を入れて検体を採取した。翌日の朝、筆者の携帯電話に検査結果のショートメールが届き、結果は陰性と分かり安心した。しかし問題は、検査証明書にはパスポート番号、医療機関名・住所、医者名などの記入と捺印が必須となっていたが、保健所では通常発行している用紙以外の証明書は発行できないということだった。加えて、保健所で採取した検体は、別の検査機関に送って検査を行うため、検査証明書の発行は翌日にならざるを得ないという。
翌日が出張日であったため、会社の担当者に取り急ぎ相談したところ、保健所では所定の用紙を用いた検査証明書の発行はできず、病院で再度費用を払って検査を受ける必要があるという。そのため、筆者は慌ててほかの病院でもう一度検査を受けることとなった。
検査に出向いた韓国の5大病院の1つである江南セブランス病院では、検査の流れが少し異なっており、検査を受けるために申し込みが必要だという。当日検査を受けられることになったが、検査費用として計22万ウォンを支払った。しかし、検査結果を受け取るのは翌日になるため、仕方なく出張日を1日延ばして、予定日の翌日に日本へ行くこととなった。
次の日に検査結果が出て、同様に陰性であったため安心した。書類発行費用として追加で約4万ウォンがかかると言われ、後味が悪い思いをしたが、ようやく書類が整い日本へ出発できるようになった。
飛行機は仁川空港午前9時発の便であったため、筆者は早朝の午前6時前に家から5分ほど離れた江南都心空港ターミナルに行った。しかし、最近では海外旅行者がほとんどいないせいか、ビルのなかには誰もおらず、リムジンパスは運休していた。
仕方なく、仁川空港までタクシーで行ったが、いつも混雑していた仁川空港はほとんど人気がなく、人はまばらだった。セキュリティ検査に並んでいる人も少なく、ほとんど待たずに空港の中に入ることができた。久しぶりにラウンジに行って、カップラーメンを食べながら、また久しぶりに日本に行けるようになったことに感謝の気持ちがあふれた。
(つづく)
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