2024年11月22日( 金 )

酒類卸最大手のカクヤスグループ 九州での勢力拡大を狙う

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 酒類卸最大手の(株)カクヤスグループ(本社:東京都北区、代表:佐藤順一)は近年、異業種に対するものも含め積極的にM&Aを活用し業容拡大を進めている。こうしたなかで、今年、九州地区で本業での攻勢を一気に進め、福岡の有力業務用酒類卸2社を相次いで買収した。九州地区の業界の勢力図が一気に塗り替わりそうな情勢だ。

 (株)カクヤスグループは、1921年11月、初代代表の佐藤安蔵氏が酒類販売を目的にカクヤス酒店の屋号で創業したのが始まり。店舗は関東地方を中心とし、東京都23区内に業務用センター・社内物流センター7店舗、なんでも酒やカクヤス144店舗、KYリカー店舗ほか4店舗を展開する。23区外、神奈川県、千葉県、埼玉県のほか大阪府に店舗を構え、店舗数は計214店舗(20年3月末時点)におよぶ。

 関連会社は、SKYグループホールディングスを親会社にカクヤスグループ、カクヤス、NSK、検校となる。07年10月には業務用食品等の企画・販売を行っている(株)ミクリードを子会社化(08年6月吸収合併)、10年10月には生花の輸入・販売業者の(株)フローリィネットを子会社化、同年12月には文房具や事務用品などの販売業者のオフィス・デボ・ジャパン(株)を子会社化、11年7月には投資管理を目的に(株)NSKを設立。12年2月には和酒取扱いの強化を図るため(株)検校を子会社化、同年11月にはワインと花のギフトセット販売など酒類販売事業の多様化を図るため(株)リンクフローリストを設立(フローリィネットから事業譲受)。14年1月にはオフィス・店舗内装工事の(株)スペースアート十番を子会社化するなど業容を拡大していった。

 その後、16年1月に経営戦略の変更のため、(株)カクヤスエステート(現・(株)SKYグループホールディングス)の子会社となり、カクヤスエステート(現・SKYグループホールディングス)に子会社を集約。19年12月には東証二部に上場をはたしている。

 同グループの20年3月期の連結売上高は前年比99.86%となる1,085億6,200万円となった。

 同グループの酒類販売事業の売上は「業務用売上」「宅配売上」「POS売上」「卸その他売上」の4つからなる。
 「業務用売上」は、主に居酒屋やレストランなどの料飲店、大手居酒屋チェーン、その他法人顧客から注文を受け、各業務用センターおよび各店舗・小型倉庫から料飲店へ配達することで発生する売上。
 「宅配売上」は、一般家庭やオフィスなどから注文を受け、各店舗・小型倉庫から各家庭や指定の場所に配達することで発生する売上。
 「POS売上」は、主に各店舗の来店客が店舗のPOSレジを通して購入することで発生する売上。
 「卸その他」は、主に同業の酒類販売業者への卸売売上。

 20年3月期の売上高構成比は、業務用売上が70.8%(前年度比0.4%減)、宅配売上が14.8%(同比同率)、POS売上が14.1%(同比0.3増)、卸その他売上が0.3%(同比0.1増)となっている。

福岡上位業者を相次ぎ買収

 従来の九州地区での勢力をみると、(株)ダンガミ、サンノー(株)、泉屋酒販(株)らがしのぎを削るなか、(株)オーリックが積極展開を行っていた。また、泉屋酒販(株)、(株)高田、(株)鯉川商店などの単独店も奮闘していた。

 こうしたなかで、九州地方への店舗展開は行っていなかったカクヤスグループは、まずは九州地方進出の足がかりとして、20年5月には中洲に強いサンノー(株)、同12月には居酒屋を含む飲食店に強い(株)ダンガミと有力業務用酒類卸を相次いで買収し、一気に攻勢にかかった。買収によりカクヤスの売上高にはサンノーおよび少なくともダンガミの約80億円が上乗せられるかたちとなる。

 だが、クラブなどの飲み屋や、居酒屋などの飲食店がコロナ禍によって大打撃を受け、業界環境が厳しさを増している状況下でのカクヤスグループの九州進出。地場トップのオーリックをはじめ、泉屋酒販、高田などの地場有力酒類卸がそれをどう迎え撃ち、自社の勢力を守っていくのだろうか。早々にも情勢が変わる可能性がある。

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