「爆買い」は終わった!ラオックスの2月の売上は2ケタ減(後)
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店舗数は倍増したが、全店売上は前年割れ
ラオックスは、2015年の1年間はまさに絶好調だった。15年1月の全店(17店)の売上高は前年同期の3.5倍、春節の2月は全店(18店)ベースで4.5倍。ピークの6月は全店(24店)の売上は前年の5倍を超えた。
ところが、今年の春節の書き入れ時である2月の全店(36店)の売上高は、前年同月比11%減となった。既存店売上がマイナスになるのは、前年が爆発的に伸びた反動としてわかるが、これは全店の売上だ。
この間、店舗数は15年2月の18店から今年2月の36店に倍増している。店舗数は倍に増えたのに、全店の売上は2ケタのマイナスだ。ラオックスは福岡に進出した。博多大丸の東館に、10月15日に大丸福岡店を開店した。売り場面積212m2。団体ツアー客向けの店舗よりも、個人向けに照準を合わせ高性能ドライヤーなど、小型の理美容品を品ぞろえしたとPRしていた。
9月28日には、九州最大級のアウトレットモールのマリノアシティ福岡に出店した。売り場面積は459m2だ。このように全国に出店攻勢をかけたが、売上には結びつかなかった。それが全店売上の前年割れとなって現れた。
リピーターの増加で「爆買い」しなくなった
「爆買い」の神風が止まったのは、中国人観光客の消費行動が変化したことが大きい。
魔法瓶、電子炊飯器、温水洗浄便座は、中国人に人気の“三種の神器”と言われた。高級腕時計やブランドのバックが飛ぶように売れた。大量に購入するのが普通だ。家族や友人と「山分け」するためだ。だが、日本旅行のリピーターが増え、彼らの消費行動が変わった。最初の訪日時のように高額品を買わなくなった。リピーターは10万円を超える炊飯器など高額商品ではなく、化粧品や日用品を買い求める。
今年の春節期間に中国人が手にしていたのは、炊飯器や高級バックではなく、化粧品や菓子が入った袋だった。以前のように、親戚や友人頼まれて大量に購入するのではなく、自分が欲しい物を買うようになったということだ。
その結果、1人が支払う金額は減る。ラオックスの月次データによると、1人が購入した平均単価は、2月が3万58円。昨年の平均が3万7,993円。買い物金額が7,935円減った。平均でこれだから、トータルすると相当な金額になる。全店の売上がマイナスになった原因だ。「爆買い」効果が落ちてきたことを、敏感に反映したのが株価だ。ラオックスの株価は2月15日、122円まで下落し、年初来安値を更新した。
年初来高値は15年7月24日の564円。6月の売上高が前年の5倍を超えたときだ。株価は約1年で10倍になった。「爆買い」効果が株価を押し上げた。急騰の反動もあり、その後の7カ月で高値から8割安の水準に沈む。
もとの水準まで株価を下げたのは、「爆買い」効果が剥げ落ちたと判断したからだ。16年12月期は、売上高は前期比7.8%増の1,000億円、営業利益は18.4%減の70億円を予想している。インバウンド需要の伸び悩みを織り込んで減益としたが、2月の落ち込みを見ると、今後、売上、利益ともに大幅な下方修正が避けられないだろう。
ラオックスの月次営業報告書は、「爆買い」の動向をいち早く伝える貴重なデータだ。そこから導き出される結論は1つ。「爆買い」は終わった。
(了)
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