世界平和に向けて(15)中国からの外国人技能実習生を受け入れる玉屋リネンサービス
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玉屋リネンサービス(株)は国際貢献を理念に掲げる技能実習生制度を活用し、中国からの実習生を受け入れている。
同社代表取締役社長・田中丸昌宏氏に現況を聞いた。総合クリーニング業とリネンサプライ業のパイオニア
――玉屋リネンサービスの事業内容を教えてください。
田中丸 当社は1964年の創業以来、総合クリーニング業とリネンサプライ業を手がけています。一般のクリーニング業とは異なり、リネンサプライ事業者が契約先のホテル・病院・各種学校・レストランなどで使用する各種リネン製品類をお客さまの要望に応じて製作し、契約先に代わって在庫を保管して、必要な枚数の貸し出しおよび回収を繰り返し行います。
貸し出した使用済みの各種リネン類は、定期的に回収・洗濯・仕上げをして、再び貸し出して納品するというサイクルを繰り返し、補修を行いながら使用限界となった製品は廃棄処分し、新たに補充を行っています。
――社風について教えてください。
田中丸 各部署・部門に人材を適材適所に配置することを強く意識しています。当社の職員の高い定着率を誇っており、それは正社員や契約社員、パート、アルバイトという雇用形態や、高齢者、障がいのある方という立場を問わず、公平公正な評価を心がけていることが職員からの評価されているのではないかと自負しています。
実習生を受け入れて本当に良かった
――中国人技能実習生を受け入れている理由についてうかがいます。
田中丸 10年ほど前から中国人技能実習生の受け入れを始めました。当社はクリーニング事業で働く実習生に技能や技術の指導を行って習得させています。現在はベトナムからの実習生が非常に増え、多くの企業が受け入れていますが、10年前は中国人実習生が多かった時期であり、当時から今日に至るまで中国人実習生を受け入れています。
――実習生を受け入れて良かった点を教えてください。
田中丸 当初から、留学で来日している日本語学校生・専門学校生・大学生などのアルバイトを雇用しています。実習生は留学生と制度の主旨が異なり、日本人と同様の条件、具体的には入寮し住み込みで働くことができるためか、技能や技術を真摯に習得するという意欲が旺盛であり、実明確な目的をもって仕事に精を出してくれています。企業としても日本人と同様に実習生を雇用することができ、本当に良かったと感じています。
――COVID-19の実習生の滞在および入国に対する影響や、今後の見通しはどうですか。
田中丸 クリーニング業は受け入れ在留期間が1年間でしたが、リネンサプライ業で入国すると受け入れ在留期間が3年間と長期間になるため、この事業で受け入れるように変更しました。特定活動ビザで在留し働いている実習生は、現在8人に増えました。今後、18日に4人が入国し、来年21年3月に新たに6人が入国できるよう手配しています。
――COVID-19によるリネンサプライ事業への影響はどうですか。
田中丸 COVID-19の影響で、2月から実習生の受け入れが減少したほか、3~5月は週に1回しか工場を稼働できませんでした。もっとも落ち込んだのは、緊急事態宣言が発令された後のゴールデンウィーク頃で、5月の初めです。たとえば、シーツの枚数を昨年同時期と比較すると、今年は20分の1にまで減っています。
日本の生活を楽しんでもらうための工夫
――実習生らが日本で楽しく暮らせるために、どんな工夫をしていますか。
田中丸 実習生に仕事以外の時間も日本の生活を楽しんでほしいという思いから、1月はお年玉と新年会、3月は桜の花見、5月は野球観戦(ソフトバンク戦)、7月はホテルでビアパーティ、12月は忘年会と恒例行事を行っています。また、実習生歓送迎会の際には、実習生が一緒に中華料理をつくって食べるのですが、皆楽しみにしています。
――受け入れ後の管理はどうですか。
田中丸 すべての実習生が女性であり、自社所有の広々とした2LDKの住まいで仲良く共同生活をしています。居室内の整理整頓、清掃、ゴミの出し方、寝食の状態など日常生活の管理は、常に会社が行っています。
近隣へ迷惑をかけないための十分な配慮を欠かさず行っており、実習生はそのような配慮を自覚しながら生活しています。加えて、監理団体の職員は監理のために月に1回の訪問を義務づけられていますが、当社には月に何回も訪問してくれており、とても助かっています。
――実習生は帰国後、クリーニング業に従事していますか。
田中丸 今のところ、帰国した実習生のなかで、クリーニング業に就職したり、自身で開業したりした人はいません。なかには、中国側の実習生や留学生の送り出し機関で就職している人がおり、実習生を送り出す際には、当社の仕事内容や日常の生活状況がわかるように詳しく説明してもらえるため、助かっています。日本の監理団体の職員も中国人であり、実習生に中国語で指導できるので、助かります。
――今後の実習生制度について、望むことはなんでしょうか。
田中丸 技能実習期間が満了し帰国した後に、再度、同じ企業の同じ業務で来日して働けるビザの新設を希望します。また、日本語をより深く勉強できる制度や仕組みがあると助かります。
玉屋リネンサービスは社長以下全員が温かい心で実習生を受け入れ、このように模範的な制度運用や国際交流を行っている。実習生を受け入れることを検討する企業は、をぜひ訪問されてはいかがだろうか。
【岡本 弘一】
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