レオパレス21をソフトバンク系投資ファンドが傘下に、狙いはOYOへの転売か(前)
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経営再建中の賃貸住宅大手レオパレス21(以下、レオパレス)を救済したのは、孫正義氏が率いるソフトバンクグループ(SBG)系の米投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループ(以下、フォートレス)だった。早くも、SBGが出資するインドの格安ホテルチェーンOYOに転売するのではないか、との観測が出ている。すでに、OYOはレオパレス21の創業者がつくったMDIを買収している。SBGの総帥・孫正義氏の狙いを検証する。
SBG傘下のフォートレスの出資で債務超過を解消
レオパレスは9月30日、SBG傘下の米投資ファンド、フォートレスから総額572億円の出資と融資を受けると発表した。
レオパレスはフォートレスを引受先に、普通株式で122億円の第三者割当増資を実施するとともに、同ファンドから新株予約権が付いた300億円を借り入れる。連結子会社のレオパレス・パワーがフォートレスを引受先に、優先株で150億円の第三者割当増資を行う。
実施後はフォートレス系企業がレオパレス株の25.71%を持つ筆頭株主になる。現在の経営陣は交代せずに引き続き経営に当たる。
レオパレスは6月末時点で118億円の債務超過に陥っていたが、資金調達によりこれを解消するとともに、銀行借入金を返済。さらに調達する資金572億円のうち340億円を施工不良物件の改修費用に充てる。
レオパレスの20年4~9月期連結決算は、売上高が前年同期比6%減の2,086億円、最終損益が175億円の赤字(前年同期は244億円の赤字)だった。
9月末時点で債務超過は171億円に膨れたが、11月2日付でフォレストグループから272億円の出資を受け、債務超過を脱した。フォートレスから300億円の融資も受け、目先の資金繰りの懸念は和らいでいる。
しかし、アパートを借り上げて転貸するサブリースの入居率は低下が続いており、10月は77.46%と過去最低を更新した。採算ラインの80%を大きく割り込んでいる。
レオパレスは賃貸アパートのオーナーとの間で、保証する賃料の見直し交渉に入った。21年春以降に更新時期を迎える物件について、多くのオーナーに対して減額要請する方針だ。
本業をどうやって立て直すか。SBGは17年、33億ドル(約3,700億円)でフォートレスの全株式を取得し完全子会社化したが、フォートレスは不動産ファンドであって、事業会社ではない。レオパレスの再生は、餅は餅屋に任せるしかない。
孫正義氏が太鼓判を押すOYOの起業家・アガルワル氏
孫正義氏のSBGは、19年からフォートレスとは別に、レオパレスの買収に動いていた。そのルートとは、インドの格安ホテルチェーン「OYO(オヨ)」を通じてのものだ。
OYOは13年、リテシュ・アガルワル氏が19歳で起業。個人経営の既存ホテルをフランチャイズ化して、わずか2年で客室数はインド最多となった。
各地のホテルオーナーを引き寄せ、快進撃を続ける原動力は膨大なデータの分析だ。宿泊の需給やイベント、天候などをAIで分析し、部屋ごとに料金を目まぐるしく調整して収益の最大化を図る。その見返りにフランチャイズ料や収益分配を受けるモデルで急成長した。
「1日、4,300万回も料金を変えている。新時代のホテル経営だ」。SBGの孫正義社長は舌を巻き、10兆円規模のビジョン・ファンドを通じて10億ドル(約1,100億円)を出資し、話題になった。
SBGから巨額の資金を調達。インドのほか、中国、東南アジア、米国、欧州、中東、日本へと事業を拡大。世界800以上の都市で格安ホテルを展開している。
孫正義氏は19年7月18日、法人顧客向け行事「ソフトバンクワールド2019」で講演。「OYOの創業者はまだ25歳。これから数カ月で世界最大のホテル王になる」と持ち上げた。
(つづく)
【森村 和男】
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