中国経済新聞に学ぶ~世界ぜいたく品の半分は中国人が買った(前)
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強大な購買力を備える若者
今年の「ダブル11」(11月11日のネット通販イベント)では、ぜいたく品ブランドの売れ行きが、ことのほか熱かった。これらを売り始めるとすぐに売り切れて、再入荷するとまたすぐに売り切れるため、ブランド側は海外から緊急に商品を調達しなければならなかった。クロエ、IWC、バレンシアガなどの「ビッグブランド」を含む人気のファッション小物65ブランドは、いずれも世界から中国市場向けに商品を調達した。
中国ぜいたく品市場の消費が大幅に増加したのは、若年層の功績が大きい。若者はみな「デジタルネイティブ」であり、未来に対し楽観的な態度をもち希望に満ちており、最新のトレンドをすぐに広めようとする。さらに、ショッピング・交流プラットフォームの「小紅書(RED)」やショート動画共有アプリの「TikTok(ティックトック)」などをよく利用している。
新しい時代に生きる彼らは、ほかの世代に比べて最新のトレンドを追いかけたい、高級品を買いたい、生活の質や社会的地位を上げたいという気持ちがさらに強い。若い「買い物の達人」は、買い物をするときに「モノの値段にはそれなりの理由がある」と信じており、将来のための貯金にも普段はあまり関心がないため、強大な購買力を備えている。
26~35歳の年齢層は高級ぜいたく品消費額シェアの62%を占める。26~35歳の人々はちょうど出生数がピークの「80後(1980年代生まれ)」と「90後(90年代生まれ)」で、中国の総人口に占める割合が大きい。
国家統計局が発表した出生数データをみると、80後は合計2億2,000万人、90後は合計2億1,000万人であり、「00後(2000年代生まれ)」の1億6,000万人、「10後(2010年代生まれ)」の1億6,000万人を大幅に上回る。この年齢層は、親の世代と比較して物質的条件が極めて大きく改善されたため、所得の増加分のうち消費の占める割合(限界消費性向)がより高く、個性に合った消費のニーズもより大きく、高品質の商品にはそれに見合う「プレミアム」を支払っていいという気持ちが強い。
彼らが購入する商品の品目は、服飾品、腕時計、ジュエリー、ハンドバッグなどが最多だ。ボストン・コンサルティング・グループの「2019年中国ぜいたく品消費者デジタル行動報告」によると、18年の中国ぜいたく品市場での消費のうち、衣類、腕時計、ジュエリー、ハンドバッグはいずれも500~600億元の売上高(小売額)となり、総売上高に占める割合が平均20%を超え、その他、アクセサリーは同売上高の16%を占め、靴類は同15%を占めた。
多くの消費者がぜいたく品を選ぶ主な理由は、ブランドにある。消費者にとって、ブランドは品質の代名詞であることが理由だ。ブランドは、企業が長年にわたる経営で築き上げた信頼であり、商品を製造するときにはさまざまなことを考慮してデザインするため、できあがった商品はファッショナブルで新しいものになる。
しかし若者は、年長者たちほどブランドが重要だと感じていない。SNSの影響を受けて、ぜいたく品消費についての考え方が成熟するにつれ、より多くの消費者がデザイン、素材、製法などを評価し、吟味するようになってきた。
商品についてブランド以外のより多くの知識を得ることが、若者が人と交流するときの一種の社交的資本(ソーシャルキャピタル※)になっている。また一方で、ぜいたく品を購入する要因として、価格はデザインや製法、素材に比べて、それほど重要ではなくなってきているようだ。これは、中国人の収入がますます多くなり、消費力がますます強くなり、消費ニーズが多様化したことが主な理由だ。
(つづく)
※ 社会・地域においての人々の信頼関係や結びつきを表す概念。
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